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第九章・4

「玲衣も、飲むか?」 「僕はまだ、18歳ですから飲めません」 「誰も見てはいないぞ」 「でも、いけません」  部屋で、哲哉はワイン片手にくつろいでいた。  玲衣は、ノンアルコールの炭酸だ。  二人とも夕食を済ませ、シャワーから上がってさっぱりしていた。  グラスに二杯飲んだところで、哲哉は飲酒をやめた。 「あまり飲み過ぎると、酔うからな」 「はい」 「……玲衣」 「何でしょうか」  哲哉は、グラスを端によけながらつぶやいた。 「私と初めて出会った時に、返事を必ずするように、と言ったが」 「ええ、覚えています」 「もう、無理にする必要はない。返事が不要の時もあるだろう」 「よろしいのですか?」  うん、と哲哉はうなずいた。 「他愛ない私の独り言に、付き合うこともない」 「哲哉さまは、他愛ないことなどおっしゃいませんよ」 「そうか。ありがとう」  玲衣が返事をする前に、哲哉は彼の体を引き寄せた。

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