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第十一章 誓い

 しばらく会わないうちに、強くなっていた玲衣。  その姿に、父親は怯んだ。  だが、しょせんはひ弱なオメガの少年だ。  後ろ手に、手錠で縛められていることもあり、父は笑みを浮かべた。  鼻で笑って、脅してきた。 「そうやって粋がっていられるのも、今の内だ。すぐに、泣かせてやっからよ」  アルコール臭い、父の顔が近づいてくる。  玲衣は、体をよじって逃れようと必死になった。 「大人しくしろ!」  もう一度、玲衣を殴ろうとした父は、ふと動きを止めた。 「……」  ドアを、ノックする音が聞こえるのだ。  注意深く耳をすませば、どうやらホテルのスタッフのようだった。 『ルームサービスを、お持ちしました』  ルームサービス。  そんなものを頼んだ覚えは、無い。  だが、父親は考えた。 (ホテル側の手違いなら、食っちまっても代金は請求されないだろう)  あくどい計算はお手の物の、父だった。 「待て。今、開ける」  父親は、玲衣に毛布を被せて隠すと、ドアを開けた。

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