78 / 87

第十一章・7

「玲衣。君にも、大切な話がある」 「はい」  部屋に二人きりになった哲哉は、玲衣を正面から見た。  どきどきと、心臓の鼓動を速めながら、言った。 「私は、玲衣が好きだ。君と出会い、生まれて初めて恋を知った」  返事をしようとする玲衣をとどめて、哲哉は続けた。 「だが、恋は次のステージに移ったようだ」 「次のステージ、ですか?」 「愛している、君を。誰よりも深く、愛している」  声もなく息を飲む玲衣の手を、哲哉はそっと握った。 「あの男が何かまた画策してきても、私が君を守る。生涯かけて、守り続ける」 「哲哉さま」 「だから、お願いだ。君は、私の心を守ってくれないか?」  玲衣は、返事をすることも忘れて、哲哉のまなざしを受け止めていた。  その次の言葉を、待った。 「結婚して欲しい、私と」 「……」  玲衣の瞳が、潤んだ。  喜びの涙が、浮かんできた。 「哲哉さま。僕、僕……」  必死で耳をそばだてて、玲衣の声を拾う哲哉だ。 「……はい。結婚してください、僕と」 「ありがとう、玲衣」 「哲哉さま」  二人で、そっと抱き合った。  互いを、一心に求め合った。  尊い約束を、誓い合った。

ともだちにシェアしよう!