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第十二章・3
玲衣の素肌に映る、ステンドグラスの様々な色。
それらも拾って、哲哉はカンバスに絵筆を走らせる。
「玲衣。腕が重くはないか?」
「もうしばらく、大丈夫です」
哲哉は、大きなカンバスに玲衣を描いていた。
伸びやかな肢体。
滑らかな肌。
玲衣は、天からの光を掴もうとしているかのようだ。
そんな玲衣の姿に、哲哉は翼を与えた。
ふれあい、手探り、彼の背に見つけた翼を。
(玲衣は、天からの贈り物だったんだ)
そう、哲哉は思うようになっていた。
「玲衣、手を下ろして。休憩しよう」
「はい」
玲衣は姿勢を崩して、衣服に手を伸ばした。
それを身に着けようとしたが、ふと止めた。
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