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第6話
ごくんっ、と勢いよく喉を鳴らし、寛人は俺の精子を飲み干してしまった...。
「わ、悪い、寛人。溜まってたし、てか、吐き出せよ」
あれ?違うな、まずフェラすんな?
「平気です!美味しかったです、先生の精子!」
きょとんとする俺とにこにこと愛くるしい笑顔の寛人。
精子が美味しい....?
「....あー、よく飲むの?精子」
何故か寛人は目を丸くした後、首を横に振った。
「まさかです。先生が初めてです。でも、甘くってとても美味しかったです、ご馳走様でした」
「....甘い?」
「はい」
思わず、口元を抑えた。
「....糖尿病かな、俺。あんま、甘いもんやら食わないんだけど....家系にいたっけ....」
一抹の不安が過ぎる。
「あ、その!先生のだから、甘く感じた、みたいな感じかもしれないです。他の人のは知らないので....あっ!」
今度は何かを思い出したように寛人が口を塞ぐ。
「どうした?」
「....先生の赤ちゃんの素、飲んじゃった....」
「....赤ちゃんの素?」
「はい。先生の精子って赤ちゃんの素で、これが女性の子宮に入ると、えっと」
「あー!それ以上、言わなくていい」
慌てて口を噤んだ。
隣室にはアシスタントの猛が寝てたんだった。
「こっちもちゃんと僕が処理しますね、これから!うんっと先生がいい作品が描けるように」
「あ、ありがとう?」
「出したら眠くなりません?」
「あー、確かに、眠いっちゃ眠い」
「寝ましょう!」
いきなり寛人に再び、ベッドに押し倒された。
「や、やめ....」
「添い寝します!先生!」
「いや、いい、悪いけど」
途端、寛人が見るからにしょんぼりした。
頭にしなだれた耳が2つ見える気がする....。
「....俺、枕、使わないから、仕方ないから腕枕してやる、て設定ならOKだけど?」
その瞬間、寛人の瞳が輝き、耳がピン!と勢いよく立ったように見えた。
幾ら小柄で童顔とはいえ、男を腕枕し、寝る羽目になるとは....。
余程、疲れていたのか、腕枕してやるなり、おやすみなさい、先生、と、瞼を閉じ、寛人は眠りについた。
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