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第2話 出会い

オレと那月が知り合ったのは一年前。 大学1年の秋。 2限が休講になり、あまり人気のない場所にあるベンチで昼寝をしている時だった。 遠くの方で誰かが争う声が聞こえる。 うるせえなーーー・・・・・・。 ベンチから身体を起こして声のする方を見ると、男二人が何やら争っているように見えた。 あの黒髪の方、たしか新入生代表じゃなかったっけか。 優等生がこんなところで何をしているのか興味が湧いて観察していた。 黒髪の方が、金髪のチャラそうな男に何やら言っているようだが、あしらわれている? と思っていたら、黒髪が金髪に抱きつく。 あー、ソーイウコトネ。 他人の痴話喧嘩に興味なんてねえし、オレは再び昼寝を再開しようとベンチに横になった。 少しして、離れているオレのところにも聞こえるくらいの僅かな乾いた音がした。 関わったら絶対めんどくせえことにしかならないのはわかってたけれどーーー・・・・・・。 ーーー・・・・・・気付いたら身体が勝手に動いていた。 「あの」 オレは二人の間に入った。 あー、この金髪、知ってる。周りの奴らの噂話で聞いたことあるわ。喧嘩っ早くて有名。気に入らないと暴力振るうクズ男。三年の灰田良介(はいだ りょうすけ)。 「理由はわかんねえけど、殴るのはどうかと思いますが?」 オレは後ろにいる黒髪の方をチラっと見た。頬を殴られたようで、やや赤くなっている。 「あ?誰だ、てめえーーー・・・・・・あー、知ってる。お前、一年の月嶋だよな?男女共に気に入ったらすぐ寝るくせに特定のやつは作らないっていう最低ヤロウ。」 「オレもアンタのこと知ってますよ、すぐ暴力振るうので有名ですもんね?灰田センパイ。」 「てめーーー、」 灰田はカッとなったのか、オレを殴ろうとした。 ーーー・・・・・・が。 「リョウっ、もうやめろよ。」 バシン、と乾いた音と黒髪の声が重なった。 「、って」 オレの代わり?に殴られた黒髪が頬を押さえ、灰田を見上げた。 「ーーー・・・・・・リョウの言いたいことはわかった。引き留めて悪かったーーー・・・・・・オレ、もうあの家出るから。終わりにしよう。最後までごめん。」 そう言って、オレが来たのと同じ方向へスタスタと歩いていく。 面倒だけど、仕方ねえ。 オレは黒髪の後を追った。

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