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第5話 何でキス?︰那月side
良介から離れてよく使う校舎の方へ行くと、ベンチがあった。そのベンチに座ったら、先程の男が隣に座る。
さっきは悪かったな、と見た目に反して謝ってくる。
「ーーー・・・・・・別に。オレたちのことに巻き込んだし。」
事実だしそう返したらお前って新入生代表だったやつだろって言うから思わず、自分の名前を名乗っていた。
オレを見て一瞬だけ目を見開いてからやや、目をそらした。
「那月って、あーゆう男が好きなんだ?」
初対面なのにいきなり名前で呼ばれて少し驚いた。考えていたことをふと口に出してしまった。
「名前?あー、雪音。月嶋雪音。」
初対面でも下の名前を呼び捨てるのか、と言いたかったけれど何を勘違いしたのか雪音は自分の名前を名乗る。
良介は雪音のことについて色々言ってたけれど、一応庇ってくれたし、後味悪いというか、巻き込んじゃったし、と思って良介とのことを話した。
すると何を思ったのか雪音はオレにキスをした。
「あのーーー・・・・・・何で、キス、」
「わりぃ。なんつーか、魔が刺した。」
魔が刺しただけで初対面の男にキスできんのかよ。意味がわからない。
見た目、モテそうだし、キスとか誰にでもしそうだなと勝手に思い込んだ。
その後、自分の噂知らないんだとか、色々言ってたけど、オレは正直、今日から帰るところなくなってどうしようかなんて思ってた。
2限が終わるチャイムが鳴ったからそいつに別れとお礼を告げて立ち上がった。
「あのさ、アイツの家出るんだらろ。住むとこねえなら、オレんとこ来る?」
雪音の言った意味もわかんないし、初対面のオレに何でこんなことを言うのかホントわからないんだけど、言った本人が一番不思議そうな顔をしていたから、オレは次に住むところが見つかるまでとありがたく申し出を受け取った。
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