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第9話 抱かれたい・・・︰那月side
オレは中学生のとき、友達がクラスの女子で誰が一番可愛いかって話をしていたのについていけなくて、それよりも放課後体育館で見かける男子バスケ部の先輩の笑顔とか筋肉質な身体とかに性的興奮を覚えたのがきっかけで、ゲイだとわかった。
だいたいオレが好きになったり気になったりするのは決まっている。
どこにいても目立っていてオレよりも背が高くて、すごく痩せているわけじゃないけど細めで筋肉が程よくある、いかにも女からモテそうなタイプ。
そういう男に抱かれたいと思っていた。
まあ別れた良介も一応はそういうタイプだったけど。
チャーハンを炒めながら、その隣で中華風スープも作る。
さっき、改めて雪音を間近で見たときーーー・・・・・・。
思わず、雪音に抱かれたいって思ってしまった。
作り終えたチャーハンとスープをテーブルに置く。向かい合わせで食べるのは初めてだ。
特に何も話すことなく食べ続け、完食した雪音がお前の飯うまいな、と言ってポンと頭に手が触れた。それは一瞬で、食べ終わった皿を流しに置きに行くと、先程と同じようにソファに座る。
少しだけ心臓がドキドキしていた。
こんな感情、雪音には迷惑でしかないのに。
「なんで、雪音はほぼ毎晩いないの?」
理由はだいたい知ってるけど、オレは雪音から聞いてみたくなった。
「何でって・・・・・・毎晩誘われるし。オレも別に嫌じゃないから、適当に遊んで帰ってる。」
その相手は男なのか女なのか知りたくなった。聞くと両方だと答える。バイで抱くのはどっちでも抱けると。
雪音に抱かれるってどんな気持ちなんだろうかーーー・・・・・・。
そんなことを考えてしまって黙ったオレに雪音が聞いてきた。
「那月は?もうそろそろ吹っ切れただろ。誰かいねえの?」
「ーーー・・・・・・い、ない。」
雪音の顔が見れない。
自覚してしまった想いがバレそうでーーー・・・・・・。
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