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第10話 好き︰那月side
「雪音はーーー好きな人いないの?」
自分の感情を気づかれたくなくて聞いてみた。
「オレさ、束縛されるのとか感情押し付けられるのとか嫌いなんだよね。そんなの面倒だし。だったら適当な奴らで欲求解消する方がいいし。相手だって、オレがこーゆうヤツだってわかってるし。」
誰でもいいならオレでもいいでしょ。
「じゃあーーー・・・・・・、」
「オレ、お前は抱かねえよ。」
「お前は適当に遊べるヤツじゃないだろ。」
何で、オレのことをそんな知らないはずなのに、そんな風に分かったように言うんだよ。
そりゃあ、オレはセフレとか無理だと思うし。雪音に抱かれたら絶対好きになっちゃうし。
好きになったらきっと知らずうちに束縛したくなって、重たいって思われるかもしれないけど。
それ以上何も言えなくなって、オレからはその話に触れることはなくなった。
学校が始まっても雪音の生活は変わらない。
課題があって、オレは自分の部屋で深夜まで起きていることもある。
毎晩毎晩・・・・・・誰かとヤッて帰ってくる。
毎日洗濯するたびに雪音とは違う奴の匂いが残ってて、それが男物の香水だったり女物の香水だったりで無性にイライラする。
気づけばいつでも雪音のことばかり考えていて、雪音の匂いを嗅ぎながら自慰行為したこともある。
雪音ーーー・・・・・・好きだ。
初めて雪音に抱かれたいって意識したときから、オレは雪音に恋愛感情を抱いている。
一緒に暮らし始めて一年。ごくたまに時間が合えば一緒にご飯を食べる。その作ったご飯がおいしかったと優しい顔で笑うから、気付いたらかなり好きになっていた。
恋愛すること自体嫌いな雪音とつき合いたいとかは思ってない。ただオレだって男だし、性欲だってある。好きな人には抱かれたいとも思う。
オレじゃない誰かを抱く雪音を想像すらしたくなくて、けれど想像上の雪音に抱かれながら自慰行為を繰り返している。オレは多分、このやるせなさに限界だったんだと思う。
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