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第13話 オレだけを求めてくるのも悪くねえ
何度かキスを繰り返しながら那月を見ると、その顔は赤くてやや涙目。
付き合ってる奴いたくせに、何でこんな初めてみたいな顔してんだよ。
那月と知り合ってから、学校で遠目に何度か那月を見た。普段の那月はクールで一緒にいる奴らより落ち着いたイメージだ。
その那月が今はこの状況がよくわかってなくて、焦ってて涙浮かべながらただオレを見上げている。
その顔が少しだけ色気含んでて。
いつか那月が必死になってオレだけを求めてくるのも悪くねえな。
焦らして、焦らして・・・・・・。
オレしか考えられないようにしてーーー。
頭を過る想いに、やべえなと思いつつ那月を見下ろす。
「那月、ここから出て行くなよ。」
ほぼ無意識で出た言葉。
オレだけしか考えられなくて、他の男に目移りなんかする暇ないくらい、オレだけを求めてほしいと思ってしまった。
「・・・・・・何で。」
さっきまで涙目だったくせに、今は少しだけ怒っている。
ぐい、と胸倉掴まれかと思うとキスをされた。
「キスだけすんだよ。」
怒った那月を見たのは初めてで、退けよと言われてオレは那月の上から離れた。そのまま部屋を追い出され、オレは無言のまま那月の部屋のドアが閉まるのを見ていた。
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