12 / 154
第12話
授業を終え、寮に戻り、シャワーを浴びると、学校の指定の鞄から教科書やノート、筆記用具を入れたポーチを取り出し、復習。
そんな時、ドアがノックされた。
「よっ」
私服姿の俊也の屈託のない笑顔。
俊也もシャワーを浴びた後だろう、僅かに濡れた見慣れた金髪と、オシャレなフード付きの半袖のパーカー、ダメージジーンズ。
ファッションに疎い俺は、なんとなく気に入った安物のロゴプリントの入ったTシャツにスウェットのパンツ。
「夕飯まで暇でさ」
俊也はコンビニの袋を掲げて笑った。
「寮、抜け出して、コンビニでテキトーに買ってきた」
「夕飯前なのに?」
「夕飯前なのに」
互いに笑いながら、俊也を部屋に招き入れるとすぐに俊也はポテチの袋を開け、テーブルに置いた。
「飲みもん、どっちがい?」
ジンジャーエールとミルクティー。
ミルクティーを受け取った。
「ミルクティーだと思ったわ」
「なんで?」
「んー?なんとなく」
ポテチを齧りながら俊也が言う。
夕飯まで、たわいのない会話をした。
「俊也、どうして、金髪なの?」
「ん?これ、地髪よ?」
「えっ!?ハーフとか!?」
「なわけないじゃんw」
「嘘つきー」
「染めてるだけ。みんな真っ黒ばっかだから。樹も染めたげよーか?」
慌てて首を振った。
もちろん、横に。
「なんで?色白いし、似合いそうだけど」
「目立つし、不良と思われる」
ぷ、と俊也が吹き出した。
「それ、俺が不良って言われてる感」
「あ、そうじゃない、そうじゃなくて、ごめん」
「別に謝らなくていいってw」
そろそろ行くか、と俊也に唆され、連れ立って食堂へ向かうと寮生たちで既にひしめき合ってた。
「場所の確保、頼む。2人分、持ってくる」
「うん」
なんとか2人分のスペースを見つけ、俊也を待った。
2人分、トレイを持ってきた俊也だが、俺の前に置かれた、自分のぶんの白米の量に唖然となった。
「こんなに食べれないよ、俊也!」
「それくらい食べないとデカくならないぞ、チビ」
むうっ、と口を尖らせると、
「珍しい、樹が怒った」
と、俊也は爆笑した。
大盛りの白米、本当は少し嬉しかった、なんて、俺、おかしいかな?
....俊也といると、俊也を好きになりそうな自分に気づく。
怖い。
好きになるにはまだ過去の傷が邪魔している。
ともだちにシェアしよう!