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第25話

何とか涼太を撒き、自室に戻るなり、はあー、とため息をつき、鞄も借りた本も投げやり座り込んだ。 クラスも違うし、俺は見たこともないのに、何処で俺を知ったんだ。 ....まさか、また噂になってんのかな。 一瞬、ゾッとし、慌てて、被りを振った。 鞄からスマホを取り出し、樹にLINEした。 『まだコピーなう?』 数分待ったが既読が付かない、てことはまだコピーに手伝わされてるか。 一旦、スマホを置き、借りてきた本達を集めた。 その一冊を手にすると、思わず口元が綻ぶ。 「樹、どんな顔するかな」 日曜日、結局、俺は実家には戻らず、寮で過ごした。 その間、樹が購入したDVDを一緒に観た。 観終えたあとは2人で、あーでもない、こーでもない、と解釈やら語り合った。 サスペンスドラマだったが、なかなか面白くて。 図書館で原作を見付けて、借りてきた。 「とりあえず、これは真っ先に樹に読ませよ」 そして、俺は別の書籍を捲る。 のめり込んでくると腹ばいになり、夢中になった。 途中、喉が乾き、冷蔵庫からペットボトルを取り出し、ミネラルウォーターをぐい飲みし、慌てて制服から私服に着替え、また腹ばいになり、小説に齧り付く。 暫くしたら、スマホが音を立てた。 開いてみたら、樹。 『今、終わったから、寮戻るよ』 『気をつけて戻ってこいよ、あと、俺の部屋に来て』 暫くの間が空いた。 ...引かれたかな?と思った瞬間。 『いいけど、なんで?』 『いいもん見つけたから樹に見せたい』 すぐに 『わかった、行くね』 と、返信が来て。 俺は自然と顔を緩ませながら、スマホを閉じた。

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