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第27話

「凄い、意外だね、俊也が本好きとか」 本棚に並ぶ背表紙を眺め、たまに手に取りながら背後に座る俊也に言う。 「良く言われる。樹はどっちかといえば映画派っぽいな」 「うん。でも、本も面白そう...あ、これ、知ってる」 「どれ?」 俺の背後に俊也が立ち、その近さに思わず、動悸が早くなる。 「ああ、ベストセラーになった奴な」 「....うん。テレビで紹介されてた」 不意に沈黙。 暫くし、俊也が空気を割った。 「....良く、テレビ観るの?樹」 「テレビ?んー...あんま観ないかも。面白そうなドラマはたまに録画したり...あ、特番の映画とか」 思わず微笑んで振り返り、俊也を見ると目が合った。 「....そっか、良かった。でも、樹らしいな」 「え?そ、そう?」 ....良かった、て、なんだろう....。 「その本、読みたかったら借りてっていいよ、ただ、ティッシュは必須」 「....ティッシュ?」 「相当、泣けるからさ、俺、ティッシュ一箱無くなるくらい泣きながら読んだもん」 「えーっ、俊也が?」 「悪いか」 突然、脇腹をくすぐられ、身を捩った。 「や、や、くすぐったいって!」 泣きそうになりながら笑いが止まらない俺を面白がり、くすぐりまくる俊也。 「も、もう、やめて、辛い」 「辛い?」 「うん、笑い止まんないんだもん」 笑いながら、目尻の涙を指で拭う。 「じゃ、これも借りてっていい?」 「いいよ」 そうして、二冊の本を借り、俺は自室に戻った。 自然と頬を緩ませながら...。 「よいしょっと」 一旦、キッチンに立ち、温かい紅茶を淹れて、カップをテーブルに置いてから、読書を開始。 まずは昨夜、俊也と観た映画の原作の小説から....。 たまにカップの紅茶で喉を潤しながら、小説を読んだ。 俊也の説明通り、若干、映画とは違う。 けど、それはそれで、また面白い。 気がつけば夢中でページを捲り、目を走らせていた。 と、不意に部屋のドアがノックされた。 「あ、もしかして、俊也かな」 すっくと立ち上がりドアを開けると、そこに居たのは俊也では無かった。

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