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第33話
豊が俺の部屋を去り、ホッと安堵した。
壁際にあるカラーボックスから真っ白なアルバムを取り戻し、微笑みながら撫でた。
たくさんの思い出が詰まったアルバム。
小学校で知り合ってからずっと、樹と写っている写真、樹のみの写真だけ。
俺の癒し。
ベッドに横になり、ゆっくりページを開き、一枚一枚に目を通す。
小さくて可愛い色白な樹の笑顔がいっぱい。
照れくさそうに笑う姿もまた可愛い。
「....一時的な記憶喪失なんだよね、樹。ちゃんと待ってるから俺、安心してね」
一枚の樹の笑顔の写真を指でなぞり、語りかける。
アルバムを見てたら心が落ち着いた。
「やっぱり、樹が一番。樹もそうだよね?忘れちゃってるけど...早く思い出して、樹...」
デニムとボクサーを脱いで、半勃ちの性器を取り出し、握った。
みんなでプールに行ったときの樹の水着姿を見ながら、扱く。
水着なんて下着同然、それに、樹の全裸を思い起こしながら...息が上がる。
「樹....樹、好き、大好き....はあ....」
いつか、樹は俺だけしか見れなくなる。
俺だけの樹になる。
「樹に挿れたいよ、樹....あ、あ....」
時計が時間を刻む音と勃起を扱く粘着質な音だけが室内に響く。
俺の脳内は樹だけ....。
「イク!イクよ、樹....!」
水着姿の樹の笑顔の写真が貼られた透明なシートの上に白濁を飛ばした。
「ごめん、汚しちゃった...すぐに綺麗にするね!」
慌てて、ボクサーとデニムを上げると、白濁で汚した樹の顔をティッシュで丁寧に拭った。
「綺麗になった」
自然と笑みが零れた。
まるで、写真の中の笑顔の樹と共鳴しているかのように...。
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