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第45話
とりあえず、ドリンクバーは口答で説明して理解してくれて、メニューを見ながら飲み物やスナックを注文した。
「樹がまず、お手本ね」
「俺!?」
「うん。どんな曲が好きとか知らないし。後、最近、どんな曲が流行ってるかとか疎いしさ。童謡で止まってるから」
ぷふ、と思わず、吹き出すと、俊也も一緒に笑った。
俺が歌うと、おー、やら、いい曲だな、とか、感想を言う俊也。
俊也は本当に曲に疎いらしく、ひたすら、童謡を歌ってる。
でも、懐かしいし、落ち着くし、悪くないな。
たまにスナックを食べたり、ジュースを飲んだりして、お喋りも挟みながら、一時間のカラオケタイムは終了した。
「どうだった?俊也」
「新鮮だったー!気持ちいいもんだね、歌うのも」
「歌うのも、て?」
「んー、ピアノはさ、子供の頃に習ってたり」
「ピアノ!?」
金髪男子の俊也の見た目から想像もつかなかった。
「まあ...親の薦めでね、で、次、何処行く?」
「んー....時間も時間だし、飲みとかいける年齢じゃないもんね」
通り過ぎる、酔っ払いの大人たちを見ながら、変わらず手を繋ぎ、夜の街を歩く。
ふと見上げた先。
キラキラとネオンが眩しい佇まい....思わず、視線を逸らした。
「あれは?」
「....ラブホテルだと思う」
視線を逸らしたまま、ボソッと答えたが、
「へー!面白そう!すっげ、キラキラしてるしさ、行ってみようよ」
「え!?」
グイグイ手首を引かれ、あれよあれよと気がつけば、まだ真新しそうなラブホの自動ドアの前。
「....人がいなくない?フロントやホテルマンは?」
途端、俊也は訝しげに辺りを見渡した。
「あ」
手首を掴まれたまま、タッチパネルの前。
....わざとかな?
きっと、モテただろうし、知らない訳なさそう....。
本当は来た事あるけど、気を使ってくれてるのかな....。
そんな風に思いながら、タッチパネルを見つめる俊也の横顔を見上げた。
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