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初めてのラブホテル...?
土曜の夜だからなのか、殆どが入室中、の文字だ。
「....まさか、この写真一枚で部屋を選べってか?人件費削減だな....」
え、と俊也を見上げると、忌々しそうな険しい顔でタッチパネルを睨んでいた。
....わざと、なのかな。
多分、そうじゃない、気がする。
人と鉢合わせしたくない人もいるだろうし、敢えて、対面式ではなく、タッチパネルでプライバシーを守る、みたいな感じなのかも....。
「....旅館とかはさ、女将がいて、部屋、案内してくれるじゃん。随分、手抜きだよな、ラブホテル、て名前なわりに」
....?
思わず、小首を傾げ、今にも舌打ちしそうな俊也の横顔を見上げた。
「とりあえず、この、プールと露天風呂、サウナやら付いてんのがいいんだけど。ボタン、何処よ」
きょろきょろと暫く、タッチパネルの周りを見渡し、はあ、と、俊也が怒り混じりなため息をついた。
「わけわかんねー!この部屋が多分、マシな気すんのに!」
人差し指でその部屋を怒り混じりに押した瞬間、点滅し始め、同時に、
「「え」」
と、声が出た。
先程と同じく、最上階の一室までエレベーター。
着いた先、扉を開いて入室すると俊也は室内に駆け出した。
「すげー!螺旋階段がある!」
と、パタパタとスリッパで走り、螺旋階段を登っていく。
だだっ広くて、清潔感のある部屋に、俺も目を見開き、感動すら覚えた。
VIPルームとか泊まった事ないけど、こんな感じなのかな。
「上にも部屋がある!」
「そうなの?」
俺も興味津々。
「なかなか広いよ!ベッドもあるし、テレビもある!なんインチかな、かなりデカい」
ほー!と、俺はふと、壁際にある引き戸を引いてみた。
「凄ーい!」
「どしたー!?」
「プールと露天風呂がある!」
バタバタと俊也が上から降りてきた。
「マジだ。学校のよりかは狭いけど、充分、泳げそうだな。露天風呂も石造りで...天然温泉かな」
「や、流石に違うんじゃないかな」
「そっか」
二人でラブホテルで大はしゃぎし、これまたデカくて、ふかふかなソファに並んで座った。
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