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第49話

俊也はラーメンを啜り、俺はカルボナーラとカレーを半分食べ、残りの半分は俊也が食べ、たまに俺も俊也のラーメンを食べながら、ちょうど観たかった映画があったから、一緒に観て。 恥ずかしいから腰にタオルを巻き、一緒に露天風呂。 「すげー。星空、見えないのが残念だけど」 「ネオンとか街頭があるからかな」 「多分」 互いに石造りの縁に掴まり、夜空を見たり。 俊也はレンタルの水着を借りよう、とフロントに電話したものの、コスプレの女性用ならあります、との返事に、明日、コンシェルジュに頼むわ、と言い、驚かせた。 「....コンシェルジュに?」 「うん。素っ裸で泳ぐの、樹、嫌だろ?」 「まあ...」 「あ、てか。ヒートの周期。大丈夫?抑制剤は?」 「あ!」 うっかりしていた。 「....部屋にある」 「寮の部屋?」 「うん。でも、俺、周期、安定してるし、こないだ、もう終わったから大丈夫だと思うけど」 「わかんないだろ、そんなの。万が一、お前がヒート起こして、間違いがあったらヤバいじゃん」 「うん...」 「明日まで連泊したかったけど、また来よ?」 「うん....」 不意に。 俊也の腕が伸びてきて、頭を撫でてくれた。 「そんな落ち込むなよ。また来ればいいし。な?」 「わかってる。でも、なんか...まだ居たかったな」 俊也が俺の手を握った。 「樹」 「ん?」 「....この先、俺を信用してて。必ず」 真剣な眼差しをぼんやり見つめた。 「....どういうこと?」 「言ったろ?人魚姫を自由にしないといけない、て。俺がいないと多分、解決しない」 吸い込まれそうな俊也の瞳。 意味がわからず、狼狽えた。 「....危ないこと、しないよね?俊也」 「....違うんだ。樹。もう、繰り返さないように、俺は動くだけ。俺を疑うな、絶対に」 突然、手繰り寄せられ、抱き締められた。 俊也の胸の中...。 力強い鼓動を刻む、俊也の心臓の音を聴きながら、静かに頷いた。

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