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第71話
「なんか、よくわからないけど。俺、ずっと自分だけが辛いんだ、て思い込んでた。でも、そうじゃないんだね。俊也もずっと辛かったんだね」
膝を抱え、ポテトを齧りながら、涼太が瞬きを繰り返す。
テーブルには運ばれてきた料理がたくさん。
ピザにポテト、ポッキーや軟骨の唐揚げ。
飲み物も飲み放題にし、涼太と豊はコーラ、俊也はアイスコーヒー、俺はアイスミルクティー。
ぽん、と豊は隣の涼太の頭を小さく叩くように大きな手のひらを置いた。
「比べるもんじゃないだろ?そういうの。お前だって、ずっと辛かったのに。ずっと気づいてあげれなくてごめん、涼太」
「....気づいて欲しくなかったから」
なんだか、涼太と豊、いい雰囲気に見える...。
涼太が曲を入れると、
「お前、いっつもそれ、入れるよなー」
「なに!?悪い!?」
涼太は拗ねるけど。
「いや、この曲さ、俺も好きだけど、キー高いから歌えないからさ。羨ましいな、て」
「そ、そっか....」
なんだか、涼太、恥ずかしそうに肩を竦め、おどおどしてる。
ついでに、涼太と豊は俺に謝ってくれて、俊也と幸せになって欲しい、と今日のカラオケは俺と俊也の交際を記念したパーティにしてくれた。
ついでに、お金も涼太と豊が割り勘で払うから、て言ってくれて、みんなでいっぱい歌った。
自然と隣の俊也の手を握った。
俊也を見ると、優しい笑顔がある。
涼太や豊に祝福され、俺と俊也は交際を始めた。
お互いにまだキスもしたことはないけど...ゆっくりでいいや。
その日はカラオケで半日を過ごし、俺と俊也は俊也の部屋で過ごした。
たくさんの本とクラシックが流れる優しい部屋。落ち着く、凄く。
「はい、樹」
「ありがと、俊也」
俊也がお手製のホットのミルクティーを作ってくれた。
俊也はコーヒー。
「....やっぱり美味しい」
マグカップを持つと、手首の小さなキラキラな星がついたブレスレットが揺れる。
「....着けてくれてるんだな、ずっと」
「うん。お気に入りだし。それに俊也が俺のことを思いながら頼んで作ってくれた、て嬉しいから...宝物」
俊也を見上げて微笑んだ。
「今度さ、いつかさ、満天な星空が見える場所、行こ?あ、でも車ないと行けないか....」
残念がる俊也が可愛い、そして、愛おしい...。
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