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第75話

「ね、ねえ、俊也、今日は外で食べない....?」 「外で?なんで」 「な、なんとなく」 頑張って笑った。 俊也を他の生徒に会わせない為に....。 「別にいいけど....」 ほんのひとときの逃げでしか無いのかもしれない。 だけど、怖い。 ....俊也が泡になってしまいそうで。 知り合ってすぐの俊也はいつも、ツンツンした冷たい感じと態度も横柄だったけど、少しずつ、柔らかい俊也になった。 俺と知り合ったから、では無く、本来の俊也なんだろうと思う。 純粋で穏やかで、ロマンチストで....。 「....俺も行ってもいい?」 不安げに涼太が尋ねた。 涼太も多分、心配なんだろうと感じる。 「だったら、豊も誘うかー、初めてだな、4人で外で夕飯とか」 俊也が笑った。 豊もニュースを見たのか、俊也に対して、何処か気遣うような。 俊也は小首を傾げるけど。 俊也が初めて連れて行ってくれた、中華料理屋さんに入った。 「あら、いらっしゃい、俊也くん。....可哀想にね、まだあんな若さで」 「え?なんのこと?」 「あ、おばちゃん、何処の席がいいですか?友達、二人連れてきたから、4人で座れる席がいいなって」 話しを遮り、4人でテーブルを囲んだ。 俊也がトイレで席を外した際に3人で話し合った。 「....でも、いずれは俊也も知ることになるよ」 複雑な表情で豊が小声で切り出した。 「....わかってる、でも、怖くって...俊也のトラウマ、掘り起こしそうで」 「だよね....前はさ、有名人の息子で羨ましい、て思ってた...でも、当の本人は溜まったもんじゃないよね....俊也は関係ないのにね、息子だ、てだけで」 涼太が難しい顔で呟いた。 「なんの話し?」 ふと顔を上げると、トイレから戻ってきていた俊也が俺たちを見下ろしていた。

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