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第86話

昼前に目が覚めると、間近にある俊也の寝顔に驚いてしまった。 ....そっか、昨夜、一緒に同じベッドで眠ったんだっけ。 金色の前髪がかかる、閉じた二重の瞼の長い睫毛も、通った鼻筋も、薄く開いた形のいい唇も綺麗だな、て思う。 ....キス、したんだっけ。 唇を見て、鼓動が早くなる。 ぱち、と音がするんじゃないか、て感じで、俊也の瞼が開き、見つめていた俺を捉えた。 「お、おはよ。俊也」 「おはよ。樹」 優しい笑顔が愛おしい...。 互いにシャワーを浴びて、歯を磨いたりしてたら、豊が起きてきた。 「おはよ。昨夜、母さんに連絡しといた。心配してたからさ。流星群、見に来てる、て」 豊も顔を洗い、歯を磨きながら、話し出した。 「夏休み前なのに、夏休みに入ってから行けばいいのに、て最初言われたんだけど。初めて流星群、見たけど、凄かった、てつい早口になってさ、母さんも羨ましがりだして。彰人には話すんじゃないわよ、行きたい、て駄々こねるから、てさ」 そうして、口に溜まった歯磨き粉を吐き出し、水ですすぎ出した。 「豊のお母さんも虜にさせちゃう、てある意味、凄いね、流星群」 「彰人、て、豊の弟?小6だっけ」 「そう。あいつも見たかったろうなー。ま、あいつもいつか見れるだろ。タイミングさえ合えば」 「てか、涼太、まだ寝てるのかな」 「かもな、ったく、眠り姫かっての。起こしてくるわ」 「うん、お願いするね、豊。その間にバーベキューの準備、しとこうよ、俊也」 「ああ」 俺と俊也はバーベキューの用意。 豊は涼太を起こしに行った。 しばらくすると、 「....おはよう」 寝ぼけ眼を擦る涼太が起きてきた。 「シャワー浴びてきたら?涼太。目が覚めるかも」 「ん....そうする」 よたよたと覚束無い足取りで涼太はシャワールームに向かってる。 「眠れなかったのかな、涼太」 そんな涼太の後ろ姿を眺め、俊也が冷蔵庫から食材を取り出しながら言う。 「寝起き悪いから、涼太」 俺と野菜を切り分けながら、豊も涼太を見つめてそう言った。

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