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第93話

そうか、涼太、父親から虐待や中学に入ってからは性的虐待を受けていた事をカラオケボックスで打ち明けてくれたんだっけ...。 「あ!絶対に。絶対に!樹は会ったらいけないからね!会わせないようにはしてたけど、樹まで犯されちゃう!」 涼太の必死な形相に...切なくなった。 どうして、ずっと一緒にいたのに気づいてあげれなかったんだろう...。 涼太は、気づかれたくなった、て以前、言っていたけど...。 「大丈夫。もし、その時はすぐに俺、通報するし、被害届出す」 俺は真っ直ぐに涼太を見た。 涼太は違った。 「....そんな事、樹にはさせないよ。それに父さんがもし警察に通報とかされたら...俺との...その...消してなかったらハメ撮りや写真やら出てくる筈だから....」 困惑した表情でテーブルに視線を泳がす涼太に驚愕した。 「....前に豊にハメ撮りとかで脅されてた、て、涼太言ってた...アレは...」 「....実は父親のこと。父親のこととごっちゃになったんだ、頭ん中。毎回、無理やりだったんだけど...嫌でも感じてきて、自分でも嫌だったけど、そんな自分」 「....脅されてた、て話しは...本当だったんだね、涼太....」 唖然としたまま、苦笑する涼太を見つめた。 「うん...抵抗したら母親に見せる、て。俺が父さんを誘惑した、てことにする、て言われてさ...どうしたらいいかわからなかった。母さんを傷つけたくないし...。ごめんね、俺のせいで樹たちを傷つけた」 思わず、席を立ち、涼太を抱き締めてた。 「....相談して欲しかった。でも、出来なかったんだね、涼太。辛かったね、涼太」 俺より小さく感じた。 涼太は微かに笑うだけ。 「でも、もう大丈夫。樹たちのお陰で幸せになってもいい、てわかったし...父親からは幸せになんかなれっこない、て言われてきたけど...」 「これからは豊もいる。大事にして貰ってね、涼太」 腕を離すと、僅かに涙ぐみながら、涼太は頷いた。

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