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第101話
「....どうしよう....」
自室に戻った俺は膝を抱え俯き、ひたすら親指の爪を噛んで時間だけが過ぎていく。
「....俊也も知らない、て事、だよね....」
和斗のあの蔑んだ瞳、ううん、人を人とも思っていないように見下す眼差しを思い出すと背筋が凍り、無意識に震えた。
「....樹もいる時、がいいかな....」
俺が怖がってて、どうする。
父さんが俺を見る眼差しと似てるから、て、和斗は父さんでは無い。
俺はようやく、俊也たちに話しがある、と切り出した。樹の部屋で。
「和斗と遥斗が出来てる?」
俊也が目を丸くした。
「うん....キスしてた、兄貴の方に告げ口されたけど、でも...言わなきゃいけない気がして....」
「一卵性の双子同士で恋愛って...見た目クリソツなのに、ナルシストかよ」
豊が嘲笑う。
「双子でも中身は違う。一卵性の双子でも、遥斗はオメガ、和斗はアルファだしな」
「....オメガの弟とアルファの兄、か....オメガの弟の遥斗くんを、アルファの兄の和斗くんが守ってる、みたいな感じなのかな....」
俊也と樹は神妙な面持ちだった。
「実はね、遥斗くんと少し話したんだ。何となくだけど...本当は彼も自由になりたいんだろうな、て感じた」
樹の言葉に、俊也は速攻、
「お前はバカか。勝手に会うなよ。何されるかわかんねーだろ。涼太も同じく」
「別に大丈夫だよ、何もされては無いから...涼太は....」
「顔色悪いな、涼太」
豊の困惑した声に苦笑した。
「....弟の方は知らないけど、兄貴の和斗の方、苦手、俺....」
俯き、ポツポツと口にした。
「何かされたか?涼太」
心配して豊が顔を覗き込む。
「ううん、ただ....あいつの眼差しが苦手、てだけ」
父さんが俺を見る目と似てるから、とは言わなかった。
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