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第104話

和斗side. 俺の寮の自室で情事の後の余韻なんかは俺は特に無い。 隣で生まれたままの姿で薄ら笑みを零しながらうつ伏せに寝転がってる弟の遥斗を肩肘をつき、見る。 「...服着るなり、布団入るなりしろよ、風邪引くぞ」 遥斗が、ありがと、と無邪気な笑顔を見せ、毛布に潜り込んだ。 心配してくれてる、と思って照れてるみたいだが遥斗が風邪を引こうが俺にはどうでもいい。 一卵性の双子で、万が一、遥斗が風邪を引いたりしたら俺が看病しなくてはいけなくなるだろう。 それに、俺に移しでもされたら勘弁しろよ、て話し。 全く同じ顔をした遥斗が俺は昔から嫌いだ。 何をしても劣る。 成績も中クラス、かといってスポーツも万能でもない。 なにせ、同じ顔に背格好まで同じなだけに、遥斗に間違われる事も少なくない。 少しは俺に追いつけよ、と勉強も教えてきたし、何かと世話してやった。 遥斗はそれを自分の為と思い込んでる。 兄の和斗は優しい、と。 とりあえず、それについてはラッキーか。 出来損ないのこいつにしては。 「...兄さんの言う通りにしていたら大丈夫なんだよね?」 遥斗が顔を覗き込んできた。 不安げな瞳。 ...同じ瞳なんだから、威勢よくしろよ。 「ああ。あいつと番になりたくないんだろ?兄さんに任せておけば大丈夫だ。安心しな」 微笑んでやると嬉しそうに頭を擦り寄せて来た。 そして、囁くように呟いた。 「...どうして僕たち、双子に生まれちゃったんだろ。番にもなれやしない」 「...ああ、そうだな」 胸元にある遥斗の髪を手櫛ですいた。 本当にな。何故、わざわざこんな手間のかかる、ほんの数分違いでしかない出生日の弟なんかが...。 せめて俺くらいに首席を争うくらいのレベルの弟ならまだしも...いや、要らなかったな。 俺だけでいい、弟なんて要らなかったんだ。 神様の不手際なんだろうと思っていたが、超有名な大病院の子息の婚約者に抜擢されて、ようやくこいつに価値が出来た。 高校を卒業するまでの辛抱だ。 それまでは遥斗を愛しているフリをする。 単なる性処理でしかないが、遥斗があの古閑に初めてを奪われたくない、俺に貰って欲しいというからこの関係は始まった。 再び俺は腕を伸ばしテーブルに置いてあるコンドームの袋に触れた。

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