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第105話

夏休みを数日後に控えたある日の日曜日。 寮の部屋を訪れると俊也の姿が無かった。 先日、和斗くんと何かあったみたいだし、心配だったけれど、涼太や豊には隠した。 二人は何かあったんじゃないか、て話してはいたけど、きっと俊也は勝手に話されたくはないと感じたから。 ゆっくり三人で食事をし、再び、俊也の部屋に向かう。 ノックすると応答があり、開けた俺は思わず立ち竦んだ。 俺を見つめる俊也の優しい笑顔...。 金色だった少し長めの髪がやや短く整えられ、黒髪になっていたから。 色が白い俊也は金髪も似合ってた。 何処かヤンチャな雰囲気があった。 今は...透明感があり、何処かミステリアスで、カッコいいというより綺麗だ。 以前、俺は俊也をベータだと思ってた。 もしくはオメガかな、て。 出逢ったばかりの頃の俊也のセリフを思い出した。 『αとかβとかΩとかさ、区別されんの、俺、マジ嫌い。変わってる?』 俊也も多分、自覚してるんだろう...。 「美容室、行ってたんだ?似合ってるね、黒髪も」 似合っているのは本音。 俊也がはにかんだ。 「ちゃんとさ、俺も動こうかな、て思って...。自分の為だけじゃない、樹の為にも。...俺、樹とずっと一緒にいたいから」 少し照れた様子の俊也に俺も微笑んだ。 「嬉しい。でも、俊也。俺に出来る事は話してね?俺、見た目ほどガキじゃないつもり。...俊也と出逢ってから」 そこまで言うと照れくさくて、俊也に抱きつき、顔を胸元に隠した。 「夏休み。なるべく早く済ませるから。実家、少し帰る。終わったら連絡するから」 「うん」 「行きたいとこ、あったら考えてて?」 「...俊也と一緒なら何処でも平気、ううん、何処でも楽しい、きっと」 俺の腰に手を回していた俊也の力が強まり、俺は俊也の胸元に頬を擦り寄せ、俊也は俺の髪に頬を擦り寄せた。

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