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余韻の渦
ソファでのキスの後。
俊也がお風呂に立った間も何故か緊張より、早く戻って来ないかな、早く俊也の笑顔が見たい、早く抱かれたい、なんて思って、気持ちが急いて。
ドキドキするのに、凄く。
お互いに唇や舌を夢中で貪り絡め合って、体が熱くって....。
呼吸困難になりそうになりながら、求め合って...。
俺の中に俊也がいる、て感覚や俊也が俺の一部になったかのような...。
俺を抱く俊也の切羽詰まったみたいな瞳にも釘付けになるし...。
「....すっごい可愛い...樹」
息苦しい、けど...一つになった、て感じが、いいな、て思って....。
そして....。
はあ、と甘い息をつきながら、片方の頬を抑えた。
「....大丈夫?樹。変な顔してるけど」
笑みを含んだような声に我に返る。
夏休みの宿題の為に、我が家に涼太が来ていたんだった....。
「へ、変な顔、て失礼じゃない....?」
「だって、1人でなにモゾモゾして、気持ちよさそうな顔してんの、てなるじゃん?」
ぶわぁ、て顔が熱くなる。
「なに、図星?」
吹き出しそうな涼太を見つめたまま....返答に困る。
「ち、違うから」
「どうだった?樹」
「言わなきゃいけないの?」
....あれ?なんかデジャブ。
「だよね、俺もカフェで樹にそう聞かれた時、そう思った」
互いに、ふ、と吹き出し笑った、んだけど。
「でも...凄かったんだよね、本当に....」
しん、と部屋は静まるのに、また俺はあの夜の感覚に浸って、頬を抑えた。
「俺は俊也の物、俊也は俺の物になったみたいな....離れないで、離さない。みたいな、体で確認し合ってるみたいな?
もうこれ、ヤバいな、て、だから」
「....だから?」
頬を染め、思い出しながら酔っ払いみたいになってる俺、この時は気づかなかったけど。
「だから俊也にもこの感じ、知って欲しいな、て」
そう、行為を終え、俊也に腕枕されていて、俊也に髪を梳かれ、微笑まれながら....
「....あのね、俊也」
「なに?樹」
「....俺も抱いていい?俊也のこと....」
俊也、目をまん丸にしてたな。
「....俺が、樹に....?」
「うん。抱かれてるときやその後のこの感じ、幸せなこの感じ、俊也にも知って欲しいな、て」
ぽかん、となってる俊也に続けた。
「抱かせて?俊也」
オメガの俺だけど、まだなんだか物足りなかったし、俊也も俺を受け入れ、心だけでなく体でまで、離れないで、離さない、て思う、あの感覚を知って貰いたい。
俊也にもっと俺を感じて欲しい。
なんて思ったら勝手に口をついて出た。
俺より色白な俊也の顔が真っ赤で新鮮で、可愛いな、なんて思ったんだよな....。
「....で。樹、俊也を抱いたの?」
「....うん、俊也、凄く色っぽくって。
切ない表情だとか赤らめた頬とか、蕩けそうな瞳とか...もう夢中で....」
「.....や、ば。樹、エロ」
またようやく我に返った俺はついペラペラ喋ってしまった自分に気づき、狼狽えた。
「も、妄想だから、そ、想像の話しだから!」
「ああ、はいはい。惚気ね。てか、俊也も優しいね、アルファなのに、樹の為に体開くとか」
う、わ....恥ずかしい....。
顔が合わせられない、俯いて両手で熱い顔を抑える。
「樹も男なんだねー、見た目によらず。
大丈夫。俊也には言わないから」
にやにやしてそうな涼太の声。
「ゆ、豊にも言わないで、ね」
「...そんなに動揺してると話したくなるけど、我慢する」
またお互いに笑った。
今度は見つめ合って吹き出した。
俺は照れくささを紛らわせながら。
「俺、豊を抱こうとか思わないし、樹の方がうわてかもね」
涼太は口元に拳を添え、くすくす、そう言って笑うけど、嫌味でも皮肉でもない。
可愛い笑顔の涼太がそこにいた。
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