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巡りゆく季節

俺と俊也、涼太と豊、四人でイルミネーションが彩る街路樹を歩く。 涼太の左手首には今も尚、豊からプレゼントされた小さな貝殻がポイントのブレスレット。 俺の左手首には俊也からプレゼントされた小さな星が輝く華奢なブレスレットが揺れる。 秋が過ぎ、肌寒い冬。 昨年、涼太や豊との歯車が狂い始めた冬だ。 けれど春に俺は俊也と出逢い、狂った歯車は原状回復どころか俺たちを深い絆に導いた。 クリスマスイブはみんなでショッピングを楽しみ、プレゼント交換する前にイルミネーションを見ることになった。 豊に至っては、 「去年はさ、涼太。一緒に樹のクリスマスプレゼント選びに付き合ってもらって。 俺は樹のプレゼントばかり考えて。 お前へのプレゼントを選びもしなかったな、今更だけど」 真ん丸な瞳で苦笑する豊を見上げていた涼太は、 「...それは...俺も同じだし」 変わらず涼太は頬を膨らませ、そっぽを向いて怒っているような拗ねたような様子だけど。 単なる照れくささからだと全員わかってる。 「ほら」 豊が涼太にプレゼントしたのは手袋。 涼太はマフラーだった。 俺へのプレゼントする予定だったデザインとは異なったものらしいけど。 どうやら去年、二人はそれらを俺にプレゼントする予定だったんらしい。 そんな二人を俺と俊也は微笑ましく見守った。 四人でイルミネーションを眺めた後は以前、俊也が俺を連れて行ってくれた三ツ星ホテルのレストラン。 涼太は窓越しからの夜景に食入り、 「う、わ...めちゃくちゃ綺麗...。彰人も喜びそう。ね?豊」 「だな」 久しぶりに会ったウェイターの坂口さんは、 「お久しぶりです、樹さま、俊也さま」 「俺の名前を覚えてくれていてくれたんですね、嬉しいです!ありがとうございます」 にこ、と坂口さんは返事の代わりに微笑んでくれた。 俺もまだナイフやフォークを上手く使いこせはしないけど、俊也がフォローしてくれて、安心して食事を楽しんだ。 涼太も手間取っていたけれど、豊が、 「ほら、貸してみ」 涼太の皿を取り、食べやすいように切り分けてあげていた。 イブはダブルデートだけど明日のクリスマスはそれぞれ、二人きりで過ごす予定だ。 俊也の右手もしばらくのリハビリの後、すっかり完治した。 ピアノのコンクールを辞退しなければいけなくなったことも。 「ピアノだけに限らずだけど。 焦らなくてもまた秋は来るし。同じ季節は来ても前の年より、より良い季節になるかどうかは自分次第だと思うから」 食事の合間、俊也は微笑を浮かべた。 「そうだね。四季を楽しみながら...もっともっと幸せを感じていたい」 肩を竦め照れ笑う俺に俊也が優しい瞳で頷いた。 坂口さんが用意していてくれたクリスマスケーキをみんなで食べた。幸せなクリスマスイブ。

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