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第159話

一糸まとわぬ姿で俺と俊也はキスを重ねながら自宅のシーツの上で夢中でもつれ合う。 唇を離した後も互いの紅潮した顔を確認するように見つめ合い、再び深いキス。 俊也に手首を掴まれたり、貝殻繋ぎしたりしながら俊也の優しくて柔らかい唇や舌が首筋や胸元に散る。 「愛してるよ、樹」 切羽詰まったような若干掠れた俊也のセクシーな声。 見つめ合う俊也も俺も少し涙目で.... 俊也を受け入れた後孔すらもまるで泣いているかのように酷く濡れていた。 「俺も....!俺も愛してる、俊也...」 俊也に抱かれながらこのままずっとこうして俊也に包まれていたい。 はしたないけれど。 丸1日、ううん、それ以上でもいい、俊也とベッドで愛し合いたいと思うくらいだ。 母さんは俊也が有名な病院の院長の子息ともあってか、 「俊也くんの好物、てなにかしら...お寿司をとるにしてもあまり安いものでは失礼かしら...」 一時帰国する俊也との夕飯を模索しているそんな母に、 「大丈夫。俊也、なんでも好きだよ。昔、お母さんの作るオムライスが美味しかった、て言ってたし、フランス料理は苦手なんだって。今、本人はそのフランスにいる訳だけど」 「そうなの?オムライスなんて家庭的な料理も好きなのね」 にこ、と安心したらしい母さんに微笑んだ。 「フランス語、てとても難しい、て言われているし、言語を直接フランスで学びたかったのかもしれないわね、俊也くん」 「うん。俊也、本当に才能あるけど、でも人一倍、努力家だから。俺が一緒に行ったら足でまといになるんじゃ、て不安だった」 「そう?樹が足でまといになるだなんて俊也くんは思ってはなそうだけど」 「 ....俊也がさ、いつでもこっちおいで、て言ってくれた」 母さんが料理する手元を見ながら頬を緩ませた。 「そう。いいんじゃない?旅行でも、留学でも編入でも。樹にとってもまたと無いチャンスだと思うわよ?俊也くんも必ずサポートしてくれる、そう思うから。樹次第だし、無理にとは言わないけど。人生は一度きりだもの」 「....俊也にも高1のときに言われた、樹にとってもチャンスだと思う、て」 「新しいことを始める、て勇気がいるものね。でも樹は1人ではないし。俊也くんともよく話し合ってみたらいいと思うわよ?お母さんは」 「....うん」 そして、帰宅した父も混じえた我が家での夕飯。 テーブルに並ぶ、握り寿司や巻き寿司、鯛の煮付け、煮物などに、俊也は、わあ...と俊也は感嘆な声を上げて瞳を輝かせ、無邪気に笑んだ。 「和食だ!めちゃくちゃ恋しかったんです!フランスではあまり食べることが出来なくて」 嬉しそうに俊也は母の考えた料理を堪能していた。 会社から帰宅した父さんはまだ一緒にお酒が飲めない俊也を残念がっていたけれど、いつか父さんが俺の旦那と義父としてお酒を酌み交わす日が来るんだろうな、と父とのやり取りも微笑ましく嬉しかった。 俺の家族と夕飯を後にし、 「早く二人きりになりたいでしょ、お兄ちゃん」 にや、と妹に言われたが言い返す術はない。 タクシーに乗り、大学近くの俺のマンションの一室に着くなり夢中で抱き合いながらキスをし、雪崩込むようにベッドイン。 何度も何度も俊也の背中に背を回し互いにきつく抱きしめながら俺たちは夢中で愛し合った。 行為の最中、フェロモンを含んだ俊也の汗すらも愛おしい。 俺も汗だくだけど俊也は嫌な顔をする訳でもない。 俊也と番になって良かった。 出逢えて良かった。 ううん、出逢うべきして出逢った。 今となるとそう確信にも変わる...。
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