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第35話所有の印【1】
ギルはジャレッドを膝の上に乗せて、片方の乳暈 を摘み、コリコリと指でしごいた。もう片方の手は尻の窄まりに這わせ、ちゅぷちゅぷと入り口を浅くかき回す。
もっともっとと、奥まで咥え込もうとする淫らな動きに乗じて指を進めて肉壁を拡げ、だが触れればわかるほどに硬く盛り上がった良いところは、すうっと素通りして抜く。
少しずつ指を増やしながらこれを何度も行なっているせいで、ジャレッドはもじもじと腰をくねらせ、「もう、むり」とうわ言のように繰り返している。
早半日、行為をはじめた時は日暮れ前だった空が、真夜中を通り越し、夜明けの曙 をのぞかせている。
達しきれない淡い快感のみをひたすら与えられ、一度も射精できていないペニスは蜜をダラダラと垂らし、可哀想なまでに勃起してジャレッドの茂みの中心でそそり立つ。
「ふあ・・・・・・んん、ギル・・・・・・もういいから」
ジャレッドのうわ言は聞かず、ちゅるちゅると腫れあがった乳首を吸う。ささやかながらも芯を持ったそこは軽く歯を使っただけで、弾けてしまいそうな熟れ具合だ。
「あっ、あっ、ギルぅ・・・・・・おねがい、もうちょっと強くして」
真っ赤になった目は、すでに幾度となく涙の河を作っている。健気に懇願するジャレッドを見て、ギルはくすりと笑った。
「泣かないでください、ジャレッド様が怖いとおっしゃるから」
「それにしたってゆっくりすぎる・・・・・・、てゆうか、愉しんでるだろ・・・・・・っ!」
キッとこちらを睨みつけて抵抗を試みるジャレッドを一瞥し、ギルは後孔に埋め込ませたままの二本の指をブイの字に開いた。
「やああっ」
ジャレッドは尻穴から溢れ出た香油が、つつー・・・と太腿を伝っていく感覚に頬を染める。
「けれど私も限界を堪えているのですよ。ほら、これがジャレッド様の中に挿いります。どうです? いけそうですか?」
ジャレッドの手をギルの太く長い欲望へと導くと、小さな悲鳴が漏れた。
恐れを抱くほどのギルの陰茎は、ジャレッドが思っていたよりもずっとずっと逞しい。大きく張った先端なんかはまるでコブみたいで、びきびきと脈打つ血管筋は地面から浮き出た大樹の根のように凶暴的に絡みついている。
「これをジャレッド様のお尻にいれて、気持ち良くなって頂かないといけません」
「うう、・・・・・・ほんとにその方法が正しいのか?」
「はい、お尻で達することができれば射精の数倍もの興奮が得られるといいます。クライにも魔力を高めるすべは感情を昂らせることだとアドバイスされたのですよね?」
「そうだけど」
ジャレッドは「でもこのままだと変になりそう・・・・・・」と泣き言をこぼす。
「一回だけでいいから出したい・・・・・・」
「仕方ないですね、それでは四つん這いになってくださいますか?」
ギルの言葉にジャレッドが明らかに目を見張った。屈辱的なポーズを取らされることへの葛藤を感じているのだろう、当然だ。
とはいえ焦らしに焦らされたジャレッドの下半身は我慢が効かない。
のそのそとシーツの上で両手と膝をつき、尻をギルに向ける。
「くそ、これでいいのかよ・・・・・・」
「ええ、いい子ですね」
ギルは目の前に曝け出された尻たぶにチュッとキスを落とし、二本の指を揃えて後孔に侵入させる。
香油をたっぷりと追加し、ぬちゅぬちゅと音が鳴るころ、羞恥にまみれているであろうジャレッドのしこりをこりゅっと押してやった。
「んあっ!?」
続けて、ごりゅっごりゅっと内壁を擦り上げながら指を奥深くまで抜き挿しする。
「あっ、あっ、あっ、うそうそ・・・・・・っ」
ジャレッドは突然襲いかかってきた猛烈な快感に、目をぱちぱちとさせている。
前には一切触れていないのに、陰嚢はビクビクと引き上がり、強い射精感をもよおしているのが一目瞭然。
ギルは目を細め、しこりを指で挟み込み、すり潰すようにピストンする。
「ん、やっ、あっ・・・・・・、それだめ・・・・・・」
うわずった声が引き金となり、ジャレッドの腰が痙攣しはじめた。
ジャレッドはくしゃくしゃになったシーツをなおも握りしめ、射精するかしないかの瀬戸際にいる。絶頂を堰き止めているのは男としての尊厳か理性か、後ろで深く達するにはその両方を取り崩してしまわなくては。
ギルは乳首を摘んで、強めに引っ張った。嬌声が上がると同時に、きゅうっと後孔が締まり、しこりを腹側にぐいっと押し込む形になる。
「一晩中ずっと出したかったんでしょう? 我慢しないで、出していいんですよ」
堅固な牙城を崩すように低く耳元で囁き、ギルはヌチュっともう一本の指を足した。
時間をかけて慣らした蜜壺は、とろけるほどに柔らかく広がる。指を腹側に折って擦り上げてやると、しこりはきつく圧迫され、びくんっ! とジャレッドの四肢が硬直する。
「アッ、んあああ———っ」
陥落してしまえば、早い。弾けたペニスから、白濁がぼたぼたとこぼれ落ちる。
「う、あ、あ、・・・・・・ギルぅ、これ・・・も、気持ち良すぎてツラい」
「そうですか、ではもう一回」
ギルは間髪入れずに指をぐりんと掻き回す。
「んっ、・・・・・・ギル、おまっ、聞いていたかっ?」
「聞いていましたよ、気持ちが良いのは大変いいことです」
ギルは「あっあっ」と愛らしく喘ぐ声を聴きながら、指をもう一本足してやろうかと企んでいた。
四本全てを受け入れられたら、次は・・・・・・。
ギルはひくひくと誘うように蠢く窄まりに口をつけ、ひだを解して舌を這わせる。隙間をこじ開けて内側をくすぐると、へにゃりとジャレッドの腰が抜ける。
「ひいんっ、やあっ、んん・・・・・・っ、都合のいい部分だけ切り取るなよおっ」
緩んだ後孔から口を離し、ギルは苦笑混じりにジャレッドに顔を寄せた。
「・・・・・・どうやら、私も多少ながら貴族の色に染まっているのかもしれませんね。ジャレッド様、こちらを向いて」
「んんッ・・・・・・」
ギルは振り向いたジャレッドの唇に舌先を滑り込ませ、同時に四本目の指を熱く柔らかい後孔にあてがい、ゆっくりと沈めた。
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