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5 父さんには悪いけど、僕は近くのコンビニでおやつを買ってそのまま診察終了まで時間を潰すことにした。 サボっちゃったなー…と、若干の罪悪感を持ちながら、手持ちの財布からお金を取り出す。買ったのは、キャラメルコーン。 そのままイートイン席に着席。 「…………、…、」 さくさくさくさく、たまーに食べたくなる味。 でも小さめのを買ったから直ぐに終わってしまう。 「……、」 眉をひそめて、さてこれからどうしようかと考える。そして図書館が近くにあることを思い出した。昔は楽しくなかったけど、今なら楽しめるかもしれない。 小さい頃読んでたものと、今読める本は違うから。 ゴミを捨て、気が向くままに足をそちらに向ける。わくわく。 図書館の入口はガラス張りになってるのに、いざ入ってみるとホールは薄暗かった。明かりを取り入れる窓が少なく、加えて照明器具も少ないせいだと思う。 ホールをぬけて同じようにガラス張りのドアを開けると、真ん中にカウンター、左に勉強スペース、右側はかなり小さな児童書スペース、そして真ん中奥以降は本棚が並んでいた。 結構冊数あるんだなーと奥へ歩こうとして「こんにちは」と声をかけられてびっくりして飛び上がった。 声の主はカウンターの中にいて、にこやかに僕を見ている。 人が、居た。いや当たり前なのだけれど。 声が出せない代わりにぺこっとお辞儀をすると「ごゆっくり」とだけ言われた。司書だろうその人は、手元に置いていた本に目を向け、それ以上干渉してこなかった。

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