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読書中の人を横目に本の海へ足を進める。
意外にも天井は所々天窓になっていて、暗いのはホールだけのようだった。
外装はやっぱり古臭いけど、蔵書の数は多そう。北は新築だから本も外観も綺麗だけど、どうしても新しい分蔵書は少ない。
多分これから増えるんだろうけど、よく本を読む僕としてはそれが不満だったり…。
中央図書館がこれだけ本があるなら、心療内科の帰りに行ってもいいなーって、本を眺めながら考える。そしたらほら、多少なりとも通う気になれる。
適当に読みたい本を漁って、北の方にはない本を1冊カウンターに持っていく。
その前に…と、紙とペンを持っていたカバンから取り出した。これがないと会話できない。
カウンターで本を差し出すと、司書さんが僕の方を見た。……この人、結構なイケメンだ。全体的に色素が薄くて、外国人みたい。
眺めていたら首を傾げられた。あ、見すぎた。「どうかしましたか?」と聞かれて首を振る。
「カードはお持ちですか?」
こくこくと頷く。バーコード付きのカードを出したところ、司書さんは困った顔をした。
「こちら養父岬中央図書館なのですが…、北図書館とまだ連携が取れておらず、北図書館のカードをお持ちでも本が借りられないんです。つまりお客様のカードは北図書館でしかお使い頂けない仕様でして。御手数ですが、中央図書館は中央図書館でカードを作らなければいけなくて」
なるほど、と僕は頷いた。
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