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第13話

 2ー1 誓いますか?  僕がワイエス男爵の屋敷へと到着して数時間後には、1番近くの村から呼び寄せられた女神の教会の神官さんが屋敷についていた。  その頃にはもう夜も更けていて僕は、もう夜着に着替えてベッドに入っていたけどランクルにたたき起こされた。  「ちょっとリビングまで来てくれ、ルーシェ」  僕は、何がなんだかわからなくって眠い目を擦りながらランクルの後についていく。  リビングへと入っていった僕をみて教会からやってきた若い神官は、ぽっと頬を染めた。  僕は、はっと気づいてその場に座り込んだ。  「あ、あの、これはっ!」  僕の着ている夜着は、アナハイムの家の奥さまの古着で透け透けの絹のネグリジェだった。  「決して僕の趣味では」  その若い神官さんは、僕の姿を見てぽぅっと頬を染めた。  「その、お召し物を交換された方がいいのでは?」  「いや」  僕のことをガン見しているワイエス男爵が真剣な表情で答えた。  「このままで」  「しかし」  なおも主張する神官にワイエス男爵が指をパチンとならすとランクルが俺を立ち上がらせた。  その間にワイエス男爵がそっと神官に何かを渡しているのを僕は、見てしまった。  突然に神官さんが友好的な笑みを浮かべて僕の方を見つめてくる。  彼は、咳払いをすると立ち上がった僕の方へと手を伸ばして手をとる。  「たとえなんの問題があろうとも、女神は愛しあう者たちの味方です」  マジですか?  僕は、うっすらと透けている体を隠そうと無駄な努力をしていた。  それを見ていたワイエス男爵が神官を促した。  「はやく!花嫁が恥ずかしがっている」  「は、はいっ!」  神官が背筋を伸ばすと僕の手をひきワイエス男爵の隣へと並ばせる。  「いろいろと問題があるようですが、女神は愛しあうものの味方です。愛する2人のことを妨げたりはいたしません」  神官さんは、ワイエス男爵と僕のことを交互に見ると口を開いた。  「では、ワイエス男爵、あなたは、この」  「ルーシェ、だ」  ワイエス男爵に言われて神官さんは頷いた。  「ルーシェのことをいついかなるときも愛することを誓いますか?」  「もちろんだ」  ワイエス男爵が即答した。  神官さんは頷き、次に僕に訊ねた。  「ルーシェ、あなたは、ワイエス男爵のことをいついかなるときも愛することを誓いますか?」  「えっと、その・・」  僕が突然のことにとまどっているとワイエス男爵がじぃっと僕のことを凝視してきたので仕方なく僕は答えた。  「はい。誓います」  

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