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第18話
2ー6 手紙
だけど、やっぱりズボンも大きくて僕は、ズボンの裾をおってウェストを押さえて立っていた。
ルドは、僕にタンスから取り出した細い帯を差し出した。
「これをベルト代わりにしてくれ」
その帯は、とてもきれいな手の込んだ織りのものだった。
見たことのない青い色の帯を僕は、ベルトの代わりに腰に巻くと前でぎゅっと縛った。
「これでどうかな?ルド」
僕がルドの方を見ると、なぜか、ルドが悶絶していた。
「ルド?」
「・・かわいすぎる」
はい?
ぼくが小首を傾げるのを見てルドがふぅっと吐息を漏らした。
「できるだけはやく服を調達しよう。さもないと私の身が持たない」
僕がルドに連れられて部屋の外へと出ると待っていたらしいランクルがにやにやと笑っている。
「まったく、新婚さんはいいよな。こっちは、寂しく独り寝だっていうのによぉ」
「黙れ!このくされドワーフが!」
ルドが言うとランクルがルドに真剣な表情をして手紙を差し出した。
「さっそくのご催促だぜ、ルド」
「ああ?」
ルドが虫けらでも見るような目で手紙を見ると、それを受け取り丸めてポケットの中へと入れる。
なんだろう?
僕がちらっとルドを見上げるとルドは、にっこりと微笑んだ。
「腹が減っただろう?朝食にしよう、ルーシェ」
僕らは、階段を降りると食堂へと向かった。
廊下を食堂へと向かう途中、肉を焼くいい匂いがして僕の腹がぐぅっと鳴った。
「腹がすいたのか?坊主。無理もねぇな。こいつの相手を一晩中してたんだからな」
ごきっというような鈍い音がしてランクルが低く呻いた。
ええっ?
僕は、ルドの方を見た。
ルドは、何事もなかったかのように微笑むと僕の手をとり食堂へと入っていく。
「ルド?」
「気にするな、ルーシェ」
ルドは、僕の肩を抱いて食堂のテーブルへと案内した。
テーブルの上には湯気のたつ温かいスープと焼いた肉が置かれていた。
「すごいね、これ、ランクルが作ったの?」
「いや」
ランクルは、目を潤ませていたが僕の問いに頭を振って答えた。
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