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第22話

 2ー10 廃墟  僕は、ショックを受けていた。  そんな下心があったなんて。  母様が僕のことをちらっと見ると、厳しい調子でルドにきいた。  「では、あなたがルーシェと婚姻を結んだのはルーシェの持参金が目的だった、と?」  「いえ、違います」  ルドが慌てて答える。  「勘違いしないでほしい。確かに私は、アナハイム辺境伯のところに持参金目的で近づいたけれど、そこでルーシェに出会ってしまった」  ルドは、僕のことをじっと見つめる。  「出会ってすぐに彼が私の番だとわかった。だから、もう、ルーシェとしか結婚は考えられない。だから、私は、ルーシェを欲しいとアナハイム辺境伯にお願いしたんだ」  「でも」  僕は、うつむいて低い声で呟く。  「僕には持参金なんかないし。それじゃ、ワイエス男爵は、都合が悪いんじゃないの?」  「ルーシェ?」  僕は、立ち上がるとルドに向かってにっこりと微笑んだ。  「僕、もうお腹いっぱいで。お先に失礼します」  「ルーシェ!」  ルドが呼びとめたけど僕は構わず食堂から出ていく。  そのまま僕は、早足で屋敷の外へと出た。  といっても屋敷の外に何があるわけっでもないけどな。  僕は、まっすぐ歩いていく。  「まったく!」  歩きながら僕は、ブツブツと文句をこぼした。  「持参金がつかなくって悪かったな!」  僕は、これでも男だ。  例え、結婚のために家を出ることがあっても男には持参金はつかない。  ルドは、それでも僕を選んでくれた。  でも、それじゃ、ルドは。  僕は、生まれて初めて女の子じゃなかったことを残念に思っていた。  もし、女の子なら。  ルドの問題も解決していたかもしれないのに。  しばらく歩いていくと崩壊した家々が見えてきた。  どうやらこの辺りは、以前は集落があったようだ。  なんでこの村は廃墟になったんだ?  僕が考えていると足元から声が聞こえた。  「どうやら魔物の襲撃を受けたようだな」  黒猫のソーが僕の足元にじゃれついてきた。  「ソー」  僕は、しゃがみこむとソーを抱き上げる。  「ここを魔物が襲ったのか?」  「おそらくな」  ソーは、僕の腕のなかで丸くなる。  しっぽがぺしぺしっとリズムをとるように僕の腕をたたく。  「それで、ここの人々は死に絶えたか、出ていったのだろう」  

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