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第27話

 3ー3 人見知りですか?  僕は、皮を剥いたクイモを薄くスライスしていった。  ランクルは、僕が料理をしているのを側について興味津々で眺めている。  こういうの、かぶりつきとかいうのかな。  僕は、熱した油の中にスライスしたクイモを入れてこんがりと揚げていった。  辺りにいい匂いが漂いランクルが唾を飲む音がきこえる。  僕は、油から取り出した揚げたクイモに塩を振りかけていく。  あのスナックの出来上がりだ。  涎を垂らさんばかりの様子で凝視しているランクルに味見をしてもらうことにする。  ランクルは、両手でクイモを摘まみながら次々と口に放り込んでいく。  そして、速攻で1皿分を食べ終わると満足げにげふっとゲップをした。  「これ、うまいぞ、ルーシェ」  「そうだろうね」  僕は、ちらっとランクルを見るとクイモを揚げ続けた。  かなりの量のクイモチップスを作ると僕は、それを1皿持って台所から出ていくと地下室へと降りていった。  地下室は、真っ暗で薄気味が悪かった。  僕は、魔法で灯りをともすと足元を照らした。  なんかカビ臭くって、壁は土が露出していて所々崩れかけていた。  なんかの根っこが飛び出していてもう少しでつまずきそうになる。  何びきかのヤモリがカサカサと音をたてて壁をかけ上っていく。  僕は、地下の通路の突き当たりにある茶色く錆びた鉄の扉の前に皿を置くとその扉をどんどん、と叩いた。  「あの、ルルイエさん。ここにお菓子を置いとくのでよかったら食べてみてくださいね」  すると、ぎぃっときしんだ音がして中から白い手が伸びてきて皿をつかんだかと思うとすっと中に消えた。  そして、扉は、音もなく閉じた。  うん。  どんだけ人見知りなんだよ?  そのとき、上からランクルの声が聞こえた。  「おーい!ルーシェ!ルドが帰ってきたぞ!」  マジで?  僕は、そそくさと地上へと戻ると台所の裏へと向かった。  台所の裏にある中庭には、ルドたちが獲物を持って帰ってきていた。  「ルド!」  僕が台所の裏口から顔を出すと大剣を背負ったルドと、何びきかの白い羊のような中型の魔物をつれた母様の姿があった。  

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