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第38話
4ー2 魔石ですか?
「異界の魔女のダンジョンの入り口は、結界によって守られている」
ソーが僕の肩の上で囁いた。
「今、このときにも魔女は、我々の存在を関知しておることだろう」
僕らは、森の中へと足を踏み出した。
ソーは、力強く呟く。
「異界の魔女の結界は強固で破れるものを我は知らん。だが、この結界を唯一無効化できる者がいる」
ソーが僕のことを見つめる。
「それが、ルーシェじゃ」
マジですか?
僕は、驚いてソーのことを見つめた。
「僕が魔女の結界を無効化できるって?」
「そうじゃ、主殿」
ソーが頷いた。
「事実、主殿は過去に一度、ダンジョンへと入ったことがある」
ああ、確かに。
僕は、記憶を巡らせる。
だけど、あのときはよく知らなかったし。
「大丈夫だ、主殿」
ソーが告げた。
「主殿の生命の形そのものが異界の魔女のダンジョンの鍵なのだから」
そうなんですか?
僕は、ソーに促されてみんなの前に立って歩き出した。
すると。
前方の景色が揺らぐ。
なおも僕が前に進むとぱきん、と澄んだ音がきこえて辺りの景色が変わった。
森の中に岩の積み上げられた場所があり周囲を石の柱が囲んでいた。
「ダンジョンの入り口だ」
僕は、石の柱の中へと足を踏み入れた。
入り口の魔方陣の中に入ると魔方陣が光始める。
「転移するぞ!」
ソーが僕に囁く。
一瞬の輝きのうちに僕たちはダンジョンの中に転移していた。
そこは、薄暗い通路のような場所だった。
すぐにフードを深く被って身を隠しているルルイエがぽぅっと灯りをともした。
「ここは」
僕は、そこを知っていた。
数年前にソーを見つけた場所だった。
「来る!」
ソーが声をあげ、ルドとグイードが剣を構える。
ダンジョンの奥から何十体もの数の小鬼のようなゴブリンの群れが現れた。
だが、ルドたちの敵ではない。
ルドとグイードは、2人で楽々と敵を倒していく。
二人に倒されたゴブリンたちは、魔石をドリップして消えていく。
僕とランクルは戦闘が終わるのを待って魔石を広い集めて収納袋へと入れた。
「これだけでも一万デルタにはなるぞ!」
ランクルがほくほく顔になる。
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