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第57話

 5ー9 危険な生き物  その日は、みな、それぞれに体を休ませることになった。  ルドは、僕を抱き上げると寝室へと連れていきそっとベッドに横たわらせると僕の鼻の頭にキスをした。  「おやすみ、ルーシェ」  「ルド」  「詳しい話は、明日、だ」  ルドは、僕を寝かしつけるようにして横になると目を閉じた。  「おやすみ、ルド」  僕も、ルドの温もりを感じながら目を閉じた。  おやすみなさい。  翌日、僕らは、朝食の後でリビングに集まった。  もちろん母様も一緒だ。  「で?ルーシェ。なぜ、私のもとを去ろうとした?」  ルドが僕を膝の上にのせてソファに腰かけるときいた。  いや、なんで膝の上?  僕は思ったけどルドを拒むことはできなかった。  僕はポツポツとみんなに自分が前世で『異界の魔女』の仲間であったことを話し始めた。  「僕は、『マザー』の露払いとしてこの世界に来た。この世界を浄化し、それから『マザー』たちを呼び寄せることになっていた」  だけど。  僕は、吐息をついた。  「僕は、この世界で『マザー』を受肉させるためのパートナーとして選ばれた人間のことを愛してしまったんだ。そのせいでこの世界を滅ぼすことができなくなってしまった」  愛する人のいるこの世界を、僕は、滅ぼせない。  僕は、ジレンマに陥った。  「そのせいで、この世界を滅ぼすことができなくなってしまった。だから、僕は、ダンジョンを造りその中にこの世界を滅ぼすための神器を封じることにした」  「それが我とその弟剣であるソード・イーガー、そして」  「この『賢者の石』か?」  ルドがテーブルの上に置かれた紫色に輝く美しい勾玉を見つめた。  僕は、頷くと続けた。  「『マザー』たちは、今、肉体を持たない魂魄となり行き場を失ってあの『異界の魔女』の森をさ迷っているんだ。僕が行って彼らの魂を導いてやらなくては」  「『異界の魔女』たちと平和にこの世界で共存することはできないのか?」  グイードが僕に訊ねてきたので、僕は答えた。  「それは可能だと思う。もともと僕たち『異界の魔女』は争いを好んではいない。この世界を滅ぼそうとしたのは、この世界の人々が争いを好む危険な生き物たちだと思っていたからだし」  

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