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第51話 それでも、僕らはしたくて。

 ローション持ってるよって言ったら、真っ赤になって、でも嬉しそうにしてくれて。  僕はそんなふうにグリーンが笑ってくれたことが嬉しくて。  それから薬局に売ってないならできないから、今日はしないって思ってくれたのも嬉しいなぁって思いながら。 「あ……おかえりぃ」  グリーンがシャワーを浴び終わるのを待ってた。 「た、だいま」  わ……すごい。 「シャ、シャンプー良い感じじゃない? スース―するってあって買ってみたんだ。あと、匂いも好きで」  ドキドキして、思わず目を逸らしてしまった。 「……うん」 「いい匂い、だったでしょ?」 「うん」  グリーンの髪が濡れてることにドキドキして。  ベッドの上に座って待つっていうのもなんだかその気満々すぎるかなって、一度座ったんだけど、やっぱりってベッドを背もたれにして寄り掛かりながら待ってた。 「あ、そうだ。お腹空い、……っン」  さっきしたのと同じちょっと濃くてドキドキするキス。でも、僕と同じシャンプーの香りがして、髪が濡れてて、さっきよりも柔らかい気がする唇にドキドキを通り越して、クラクラする。 「あっ……」  唇が離れた瞬間、変な声が出ちゃうくらい。 「お腹は空いてるけど、でも、今はこっち先が……いいんだ」 「んっ」  そしてもう一度キスをして。 「はぁっ」  次に離れたら息が上がって、それで唇同士の間を透明な糸が繋いで。 「グリーン」 「ごめん。青葉が、そのローション持ってるっていうことにかなり興奮した」 「え、そう?」  顔、すごく近い。  話す度に、グリーンが唇を動かす度に、吐息が触れる。 「さっき、薬局行ったのって……やっぱ、さ」 「スキン。必要だから。とりあえずあったから買ったけど、でも、そのローションないとできないしって」 「スキン……ぁ、ゴム」  睫毛長い。それに睫毛も金色。ってそうだよね、さっき、その触りっこした時、そこも、金色だったし。 「はわ……たしかに」 「青葉?」 「けっこうドキドキするね」 「?」 「グリーンがそのゴム買ったってことは、つまり、僕とするって思ったんだなぁって、思ったら、ドキドキ……しました」  BL漫画ならね。ローションなくてもどうにかなっちゃうんだ。たまに、オメガバでもないのにその準備なくても大丈夫なんてこともあるくらい。でもリアルはそんなわけなくて、僕の身体はオメガでもなければ、女の子でもないから、ちょっとするにはいろいろ必要で。  それでも、僕らはしたくて。 「青葉、その、ローション持ってたってことは……つまり」 「あ、うん」  顔、あっちぃ。 「いいの? その、青葉が……される側で」 「ぅ、ん」  小さく小さく頷いた。 「BL的に僕、受け、だし」 「いや、それは」 「あ、したかった? 受け」 「いや、あー……いや、その」 「それに」  ちょこんって、手を床についているグリーンの手の甲を指でつっついた。 「それに、僕も自然となんかそっちで考えてたし」 「……」 「最初はそりゃ、僕が受けかなぁとか色々考えたんだけど。でも、なんか気が付いたらグリーンとするって想像する時、いつの間にか僕が受けで毎回考えちゃってたし」 「……」 「あ、けど、そのローションでちょっとしてみたんだけど、そのちっとも入らなくて」 「……」 「だから、これローションあっても、できないかもしれないんだ、けど」 「い、よ」 「グリーン?」  ほっぺた真っ赤すぎる? そっと撫でられるとグリーンの手の冷たさをすごく感じる。 「できなくても全然いい」 「……グリー、」 「ただ青葉に触りたい」 「……僕も」  グリーンが触ると、すごく 「僕もグリーンに触って、欲しい」  すごく気持ちが良くて、自然と頬を摺り寄せた。  ベッドの上、下だけ脱いで、上はまだ着てるんだけど、グリーンの片手は僕の服の中に潜り込んで、貧相な身体を丸見えにしちゃった。そして、見てもらうにはあまりに貧相な身体を触られて。  くすぐったくて。  恥ずかしくて。 「もっと触る……よ」 「ン、ど、ぞ」  乳首とか、指で撫でられるともう本当、どうにかなっちゃいそうで。 「あ、嘘……ン、あっ」  びっくりした。すごくびっくりだ。 「ぅ、わ……ぁ」  指。 「青葉」  グリーンの指は何か魔法が使えるんじゃないかと。 「ン、あっ、やぁっ」 「青葉、無理そうなら言って」  脚を抱えた子どもみたいな不恰好になりながら、思うんだ。 「ちが、く……て」 「青葉?」 「痛く、な、ぃ」  だって、僕、やってみたけど入らなかった。そこ、きゅって、ぎゅってなったまんま、すっごい頑なで、ちっとも入らなかったのに。 「やぁ……」 「や? 一回抜く?」 「や、待って……ちが、ぅ……だって」  両手でグリーンの手にしがみついた、 「くぅ……ン」  そして、くちゅって濡れた音がして、また身体がびくんって反応してる。 「指、入っちゃった、あ、ぁ……ン」 「うん。平気?」  平気じゃない、よ。びっくりだし、緊張するし、少し、怖いし。でも。 「へ、き」 「青葉」 「びっくり、した……だけ。だって、僕、した時、ちょっとも入らなかっ、……ン」  中にグリーンの指がある。まだ戸惑うけれど、ちゃんと指が入ってるって思って、そしたら、キュってして。  キュってしたら、もっと指を感じて。 「あっ」  小さく声をあげたら、その声ごとグリーンに食べられた。キスで。 「ン」  その舌に自分からしがみつくみたいにキスを返して。 「わ、ぁ……グリーン」 「うん」 「あ、あ、あ」  グリーンの手が優しいから。怖いっていうか多分ビビってるだけで。緊張はしてるけど、それはきっとグリーンもで。  ほら、だって、まだ手が冷たい。 「青葉」 「ふ……く、ぅ……ン」  呼吸は整わないまま、またキスをした。  キス、すごく気持ちいい。  だから、平気じゃないけど平気。 「大丈夫? 青葉」  大丈夫じゃないけど、いっぱいいっぱいだけど、大丈夫。 「僕は……平気、けど……グリーン、平気?」 「?」  グリーンとなら。 「ここ」 「!」  すごい、よ。でっかい。 「っ、平気、けど、あんまり触らないで欲しい」 「!」  イケメンが顔をくしゃくしゃにして困ってた。僕が触っちゃったから。びくんって飛び上がって、そのあと前屈みになって困った顔をこっちに向けてる。 「ごめん。グリーン」 「青葉、笑うな」 「だって、プクク……あ、はっ、あ、ぁ」 「少しでも変な感じしたら言って」 「ぅ……ん」  笑ったり、困ったり、ビビったり。  けど、僕はオメガじゃないから。グリーンはアルファって言われもありなくらいのイケメンだけど、でも、僕は濡れなくて。  女の子じゃないから準備も必要で。  初めてだからBL漫画みたいにスムーズに進められてないし、途中笑っちゃってるけど、でも。 「平気、だよ」  それでも、僕らはしたくて。 「グリーンの指、気持ちいぃ、よ」  したくて、そっと緊張で冷たい指先を握り合って、繋いで、そっと引き寄せあいながら、キスをした。

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