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第52話 これは不思議だ。
「あっ……グリーン……」
不思議だ。
「あ、あ、あ、そこ、やだ……」
「ここ?」
「そ、こぉ」
僕の指はちっとも入らなかったのにさ。
「やぁぁっ」
グリーンの指は入っちゃうなんて。
「青葉」
「あ、あ、ど、しよ」
「痛い?」
「初めてなのに、中、気持ちぃ」
ベッドヘッドのところにクッションと枕を立てかけて、僕はそこに背中からもたれかかって、すっごい恥ずかしい格好してる。恥ずかしくて、今朝起きた時に自分のお腹に巻き付けてたタオルケットをぎゅって抱え込みながら握り締めて、脚広げて。
「グリーンの指、気持ち、ぃ」
「ぅん……」
「あ、あ、あ、あ、そこ、やだってば」
「青葉、タオルケットどかすよ? ついちゃうから」
「え、やだっ、恥ずかしいって」
「青葉のカウパー、ついちゃうから」
なんてことだ、そんなものが愛用してるタオルケットに付いてしまうなんてって、握り締めていた手の力を緩めると、グリーンがそのタオルケットを外してしまった。
「や……ぁ……恥ずかし、ぃ」
濡れた音がすごい。ローションの音だけじゃなくて、これって。
「ふぅ……あっ」
足を広げられて、かうぱーで濡れちゃってるそれがぴくんって揺れたのが見えた。タオルケットを抱き抱えていると見えないところ。けど、見えちゃった。
「わ……ぁ、ン」
慌てたけど、そんな僕の肌にグリーンがキスをするから、そっちに意識がいく。肌のところ、鎖骨とか、肩とか、それから、唇にも。
「ン……ん」
ありったけのクッションとそれから枕も、全部を僕の背中に置いて、覆いかぶさるグリーンの重さも受け止めながらするキスはまるで、冬の布団の中みたい。
「……ん」
僕、好きなんだ。
冬の布団って。
ふわふわの布団の中、口元くらいまで全部すっぽりかぶっていると、すごく心地よくて。すごく安心できて。幸せな気持ちになれる。
「グリーン」
そんな布団みたい。
「もう、入れたり、しない?」
心地よくて、安心できて、幸せで。
でも、布団じゃないから少しドキドキも混ざってる。
「きっと、入るよ」
「……」
「グリーンの」
そっと手を伸ばして、グリーンのそれに触れた。
「ね……」
「っ」
おっきい。
それを撫でると、指先が触れただけで、飛び跳ねるようにグリーンのが反応して、グリーンも大きな背中を丸めた。
「ン、んっ……」
覆い被さるグリーンがすごく深く濃いキスをしながら、僕の中を撫でていた指をとても丁寧に、ゆっく抜いて、そして、僕の脚に手を添えて。
「ぁ」
体勢が……。
「ン」
グリーンの心臓の音も聞こえそうなくらい近く。
「っ、う……ン」
「痛い時はすぐに言って」
「ぅ、ん」
コクンって頷くとおでこ、ぶつかっちゃいそうなくらい。
「あっ」
一番、近いとこに。
「ずっと」
「ぁ……あ」
「青葉にこうして……」
「あぁぁっ!」
「触りたかった」
一番近くに、君がいる。
「あっ」
「っ」
呼吸が止まっちゃう。
心臓が暴れてる。
僕の身体の中、でも僕の知らないところがすごくいっぱいいっぱい。
なのに。
「は、ぁっ、はぁ」
「青葉」
「ン」
不思議だ。
「青葉、大丈夫、馴染むまで、このまま」
「……ン」
BLはやっぱりファンタジーだ。
「すご……い」
「青葉?」
だって。
「僕ね、いつか、キスとかキスの先とか、そういうのって、女の子とするんだと思ってた。誰か、とか明確なイメ、ジはなかった……けど、でもぼんやり想像してた……のは、女の子で。だから、同性とする、とか全然考えたことなかった、けど、グリーンとはそういうのも、考えられて」
「……」
「けど、自分の指、入らな、いし」
「……」
「ちっとも入らなかったのに」
初めてなのにさ。
「あのね、今、僕」
「……」
「ちゃんと、気持ちぃ、よ、だから」
いっぱいいっぱいで苦しいはずなのに。
「動いて、平気、だよ」
ちゃんと気持ち良いんだ。
「あっ……ン」
ちゃんと、すごく気持ち良い。
「や、あぁ……ぁ、あ、グリ、ん」
ゆっくりとグリーンがそっと僕の中を突き上げた。ハンパない圧迫感なのに、突き上げられたところで、背中を丸めて僕の胸にかっこいい顔を埋めるグリーンに胸のとこ、乳首にキスをされて、苦しいくらいにグリーンでいっぱいな奥がきゅってしがみつく。金色の髪をぎゅっと抱えるように引き寄せて。
「あ……ン」
ゆっくり抜かれて、ゆっくり突かれて、乳首にキスをしてもらって。
「すごい……僕ら、してる」
「っ」
「気持ちぃ……グリーンも」
「もちろん」
「あっ!」
少し身体が揺さぶられた。
「あ、ン」
変な声。
「ン……あぁ」
ほら、やっぱり変な声。
「ン、ん」
でもすごく、ものすごく、嬉しく気持ち良くて、気持ちも声も奥も外も全部。
「グリーン、も、僕、イっちゃいそう」
「青葉、俺も」
「一緒に、がいい、よ」
蕩けて、声も気持ちも全部甘い気がしたから。
「だから、グリーン……ン」
ほら、キスがさ。
「あ、あ、あ、あ。イク、イっちゃう」
「っ」
練乳たっぷりの苺よりも、シャインマスカットのパフェよりも、何よりも甘くて、とても、とっても美味しかった。
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