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第82話 僕の
服、一泊旅行くらいしか持って来てなかったんだ。とりあえず、来ることで頭いっぱいで、バックパッカー? っていうか、遠足みたいな格好で海外に来ちゃったんだ。そもそもスーツケースなんてもの持ってなかったし、親も海外旅行なんて行ったことないから、家にもないし。最大で入りそうなリュックにできるだけ詰め込んで持ってきた。
だから、服はグリーンに借りるしかなくて。
「昨日は来たばっかりで慌ただしかったから、その……気が紛れるっていうか……だったけど」
グリーンがそう話しながら、口元を手で隠してる。
「時差ボケしてた……し」
チビ助の僕はグリーンの服を借りるとなると、ズボンなんて折らないと引きずっちゃうレベルで。
「今朝も、その……気を逸らしたくて畑に……」
Tシャツなんてオーバーサイズもいいとこで。
「それでなくても、青葉がここにいるってだけで、すごいことなのに」
でも、僕はグリーンの服を着てることが実はすごく嬉しかったり、ドキドキしたりしてたり、してみたり。
「だから……」
ちらっと見上げるとグリーンも、ちらっとこっちを見て、目が合った。
「も、う……時差ボケ、なおったよ」
「……」
「その、だから、グリーン」
ブカブカなグリーンのTシャツの裾をキュッと握った手をグリーンが掴んで、そのまま階段を登っていく。
「ン……」
そして部屋に入った瞬間、抱き締められながら、キスをした。
「ン、ん……ぁ、はっ……グリーン?」
唇が離れるとグリーンの手が僕の腰をぐっと掴んで引き寄せる。
「……ぁ」
グリーンの、が。
「青葉」
「うん?」
当たって、それで急に恥ずかしくてくすぐったさに俯いたら、おでこ同士がそっと、コンって触った。
「……好きだよ」
すごい。
「うん。僕も」
とってもシンプルな告白なのに。
「僕も、好き」
飛び上がって、なんだったら踊っちゃえるくらいに嬉しくてたまらなかった。
「あっ……ぁ……」
首筋にキスされるの、ダメ、かも。
「ん、ぁ……」
ゾクゾクする。
「あ、グリーンっ」
Tシャツの布ごしに乳首をキュッて喰まれて、思わず、グリーンの肩にしがみついた。
昨日一緒に並んで寝た、っていうか僕の場合、ほぼ気絶に近いけど。テレビで言ってたんだ。横になってすぐ眠ってしまうのは気絶と一緒なんだって。だから、きっと時差ボケで気絶してたんだと思う。そして一緒に寝転がったベッドに、今、膝立ちの格好で、グリーンの上に座らされてる。
「ん、ぅ……ン」
大きな手が背中に侵入してて、撫でてくれるのにドキドキして。きっと鼓動も速いと思う。そんな胸に、ちゅってキスをされて真っ青な空と同じ色の瞳が僕を見上げた。
「青葉……」
僕の名前を呼んでくれた。
電話越しだと少しザラついていて、どこか変な気がして、寂しかったんだ。
ねぇ、もう会えないんじゃないかって、ちょっと思ったんだ。
もう……。
「ん……グリーン」
こうして触れられないんじゃないかって、思っちゃったんだぞ。
「グリーン」
ぎゅっとしがみつくと、ぎゅっと抱き返してくれる、この手に、もうこうしてもらえないんじゃないかって、思っちゃったんだ。
「あっ……」
何度も折り返して履いていたグリーンのズボンはベルトを外すと、ずるりとだらしなく下がってしまう。どうにかしたら脱げちゃうんじゃないかっていうくらいサイズが違う身体付き。
「細い腰」
「あっ……」
「こんなに華奢なのに」
「ぁ、あっ、や、ぁ、握っちゃったら」
ズボンを膝の辺りまで下げられて、もう感じて固くなっちゃってる僕のを握られただけで、気持ち良さに膝立ちになってられなくて、グリーンの上に跨って座ってしまう。
そして、くちゅくちゅ音を立てながら握られてた僕のと、グリーンのズボンと下着をずり下げた瞬間勢いよく飛び出たグリーンの大きいのが触れ合って。
「あっ! ン」
大きいので擦られるとたまらなくて。溶けちゃいそうだ。
「こんなに可愛いのに」
グリーンの大きいのと一緒くたに握られて、そのまま擦られると、ゾクゾクってした。
掴まってないとどうになっちゃいそうで、肩にしがみつくとそのままキスで舌先も絡まり合う。手と、それから舌、唇、濡れた音の合間に、乳首を布ごしに齧られる度に溢れちゃう僕の甘ったるい喘ぎ声。
「あ、あ、やぁ……ン」
布の上からでもわかっちゃうくらいに乳首がツンってしてる。そしてそれをまたかっこいい唇にキスしてもらえって、またビクンって身体がはねてしまう。そんなふうに感じちゃう僕のことをチラリと見上げるグリーンの青い瞳の色が深くて、眉間の皺もなんか、あれで。
「っ、青葉」
切羽詰まった感じのグリーンの険しい顔も、もう、なんか。
なんか。
「青葉」
僕の、って思った。
「グリーン」
「?」
だから、しっかり捕まえないとって思って手を伸ばして、もう片方の手をグリーンの握ってくれてる手に重ねて、身を乗り出して、キスをした。
「大好きだよ」
そう告げながら、自分から舌を絡めてキスをした。
「大好き」
グリーンは僕のって、急に込み上げてきた独占欲に素直に従って、大好きな人をぎゅっと抱き締めた。
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