「やめ……ろ、よ……」 　情けないと思っても、どうしようもなく声がうわずる。半勃ちといった今でさえ並外れて巨大なイチモツをねじ込まれたら、そこは笑み割れた柘榴のように裂けてしまうに違いない。 　その存在を誇示するように、雄の刃はなおもそそり立って傘がぐっと張り出す。弾丸が装填されて、手折る準備が整ったといいたげだ。橘は細腰(さいよう)を抱え込むと、やや前にのめり秘花に穂先をあてがった。 　高をくくっていた感がある。挿入する、というポーズを取るにとどまって離れていくだろう──と。今のはほんの冗談だ、わたしを殺めようとした駄々っ子にちょっとした折檻を加えただけだ。そう種を明かして、ぽかんとする佑也を嘲笑って、それで幕を下ろすのだろう──と。 　だが、橘は百パーセント本気だ。ずちゅり、と猛りが花びらをめくりあげにかかる。 「きみとひとつに結ばれる瞬間を迎えて、わたしがどんなに感動しているか想像もつくまい」 「綺麗事を並べたって……あんたは、おれをレイプする気なんじゃないか、そうな……ん、だ……くぅ、っ！」 　 　雄渾がめり込むにつれて、ぐうっと圧迫感が増す。佑也は咄嗟に後ろをすぼめ、からくも怒張を押し返した。もっとも秘処は十二分にぬるみ、やわらいでいる。絶妙の力加減で繰り返しノックされると拒みきれない。 　息を吸って吐けば、それに伴って蕾も花開く。入口が最大限にほころぶ瞬間を狙い澄まして砲身が陰門をこじ開けにかかる。襞が、めりっと軋む。 「……つ、ううっ！」 「挿入(はい)れない。少しゆるめなさい」 　橘のほうも先端がつかえる形になり、痛みを感じているようだ。眉根を寄せて一拍おくと、侵入する角度に微調整をほどこす。ひと襞、ひと襞と征服するように、じりじりと分け入る。 「ぅ、あっ、くっ、あ……っ……っ！」 　佑也は髪を振り乱し、のけ反った。灼熱の塊をねじ込まれたように、すさまじい痛みが全身を貫く。もぎ取る勢いで格子を摑み、なんとかして橘を振り落とそうと、もがく。 　脂汗が全身をしとどに濡らし、だが、もう一音たりとも呻き声を洩らすまいと口をへの字にひん曲げた。 「強情を張るのはやめて素直に身をゆだねなさい。わたしは、きみと至上の喜びを分かち合いたいのだ」 　そう、うそぶく男に冷ややかな一瞥をくれた。ひとたび口を開けば悲鳴が迸る。やめてくれ、勘弁してくれ、と恥も外聞もかなぐり捨てて泣き叫ぶ。 　泣き落とし戦術を用いて憐れみをもよおすように仕向けるくらいなら、生き地獄を味わうほうを選ぶ。辱めを受けても、恣(ほしいまま)にふるまう男を最後の最後の瞬間まで睨みつづけてプライドを守り抜く。 　それが、蹂躙される者の意地だ。