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第11話

「いかせてください……言いなさい」 「ふざけるな……あ、ぁあっ!」  覆いかぶさってこられれば、シャツの袖口が耳の両脇をかすめる。ネクタイこそほどいたものの橘は三つ揃いをりゅうと着こなし、相変わらず胸さえはだけようとしない。  こいつも素肌をさらせば、と悦虐の嵐に吹きさらわれるなかで佑也は思う。人肌に包まれたら、この残酷な行為も愛の営みだと思えるのだろうか。  口づけはおろか、抱擁も省略。無理やりオンナにされたそこにしか用がないような扱いを受けると、みじめで、くやし涙がほろほろとこぼれる。  機械的でありながら技巧を凝らしたピストン運動はクライマックスへと向かう気配すらみせない。橘は、佑也が屈服しないかぎり延々と辱めるつもりでいるのだろう。ペニスには指一本触れず、ただ下生えがもつれ合うほど自身を深々と埋もれさせて、内壁をかき混ぜる。  その一方で荒い息づかいにわななく唇を指でこじ開ける。陽根になぞらえた指で、頬の内側の柔壁から歯茎の起伏に至るまで、口腔を隈なく荒らす。 「いいかげんに、しろ……ん、んん……ぅふ、うう……んっ!」  そこを指の腹でこね回されると、快感という鍵が鍵穴に挿し込まれて新たな扉が開くようだ。  実際、上顎のデコボコした部分も性感帯のひとつだと気づかされる。併せて橘が性技に長けていることを、いやが上にも思い知らされる。 「我慢強いと褒めるべきなのか、往生際が悪いと呆れるべきなのか」  橘は苦笑を洩らした。蜜にまみれた鈴口をひと撫ですると、妖しく濡れ光る指をこれ見よがしにねぶる。  佑也は手柄顔にペッと唾を吐きかけて返した。全身が怒りの朱に染まり、それでいて橘が入り口のきわまで退き、屹立が浅い位置をさまよえば最奥が物欲しげに蠢いて仕方がない。 「愛しい、愛しい佑也。終生、変わることのない愛を捧げるとここに誓う」  瞼に優しいキスが落ちた。はたはたと震える睫毛を唇でくすぐられると、不覚にもあえぎ声がこぼれ落ちる。  よがり声を嚙み殺すのにともなって内壁がすぼむ。(なか)にさざ波が走れば、穂先がスウィートスポットをまともにブラッシングする形になり、 「そこに、さわる、な……あ、ぁ、ああー……っ!」  ペニスが跳ね踊って蜜を降りこぼす。 「意地を張るのはやめて、イキなさい」  嚙みつぶされて、じんじん疼きだしたところで舐め転がされると、それはどういった化学変化によるものだろう。甘咬みしやすい大きさに胸の粒がぷくりと膨らむ。  熟れてただれた後ろに甘く淫らな摩擦が加えられると、限界が近いことを物語って雫が粘り気を増す。

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