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第3話「―はいいけど、キスはなぁ…」3

「―はいいけど、キスはなぁ…」3  宅飲みって楽しいものだと思ってたのに、鴉岬(あんざき)って酒が入ると陰気なのがもっと陰気になった。酒ってさ、絶対、気分を明るくさせてくれるもんじゃなくて、その時の感情を増長させてくれるだけなんだよな。あの人も、そういうタイプなんよな。  飲み会のとき、どうしてたんだろ? 「鴉岬ってお酒弱いんだっけ?」  もうこの世の終わりだ!みたいにテーブルに伏せちゃってさ。 「……別に」  酔った目はいつもより鋭い。絶対酒弱いだろ。 「飲み会のときとかどうしてたん」 「音鳥(おととり)とか鹿名関(ろくめいかん)くんが飲んでくれた」  マジか~って思ったね。高学歴モテ男の同僚と、なんかリスとかモモンガとかうさぎが人間になったみたいなきゅるるんきゅるるんしたかわいい系の後輩くん。そうなんだ、そんな繋がりが…… 「それで焼き鳥屋、行けんの?」  鴉岬は目だけ見せてきてちょっと怖かった。二日酔いコースかも。ラムネと味噌汁買ってあるけど…… 「島莱(とうらい)だから……」 「はひ?」 「島莱になら…………別にいいかなって思ったんだ」 「何を?酔い潰れても?」  そしたら鴉岬のやつ、頷きやがった。 「甘えても……」 「え?」  鴉岬は腕の枕に顔隠しちゃった。 「鴉岬ぃ」 「もういいやって……島莱には、全部晒しちゃえば、楽だろ……って」  え?え?オレは混乱した。だって鴉岬、へにゃへにゃ喋る。いつものびしっ!ぴしっ!って鴉岬はどこに行っちゃったのぉ。 「島莱……」  鴉岬がテーブルの上で寝るのやめて、顔を上げた。泣いてるように見えて、ただ酔ってるだけなのに、なんだか鴉岬が鴉岬じゃない気がして、ちょっと怖くなった。お酒入ると、人の顔、直感的には分かるのに、こんな顔貌(かお)してたっけ?って疑問に思う。やっぱ飲酒運転ってマジで危ないわ。 「あのな、」  喋り方、作ってたのかなって間伸びして、年相応ってばそうだけど、いつもより結構若い声してた。 「うん……」  酔っ払い同士、変な空気だったんだと思う。めちゃくちゃ大事な話するんだなってのは、雰囲気で分かった。  眼鏡取れてるとろんとろんの目がちょっと下を向いたときに、がこーんってたぶん玄関から音がした。鴉岬は、はってして、でも鴉岬、どう見ても酔ってるからオレが出ようと思った。 「隣人が、間違えたんだろう……」  オレいっつも、サスペンス映画で最初に思ってた犯人と、実際の犯人が違うこと多いくらい鈍感なんだけど、なんとなぁく、鴉岬もしかして誰ががこーんってやったのか、知ってるんじゃないのって思った。誰だろ?  オレは出るか出ないか迷った。そうしたらまた、がこーんって聞こえた。隣人が間違ってるなら言ってあげなきゃじゃん?オレはただただ善意と、まぁまぁの好奇心でチェーンロックを外して玄関扉を開けた。そうしたら、すごい風圧かかったみたいに身に覚えのない力でドアが開いた。いきなり入ってきたやつがいて、でもそれが何なのか、オレもびっくりしちゃって分からなかった。ただオレは鷲掴みにされて、横の縦長の靴箱にだんっ!て打ちつけられて背中が痛かった。頭突きされるかも!って、それか、急に止まれません、ってカンジで頭と頭がぶつかりそうになって、でもぶつからなかった。ふわっふわって嗅いだことある甘ったるい匂いがして、それは多分バニラだった。 「なんだ、おめぇ」  オレもびっくりオブびっくりだったんだよ。テレビでよく見る顔がそこにあって、人に指差しちゃいけないのに、指差しちゃった。だって、オレ、今朝テレビでみたもん。廻須(くるす)鳳翅(あげは)だ!え、コスプレ?モノマネする人?  オレは今をときめくドルアイに捕まってた。玄関に酔っ払ってる鴉岬が来てくれて、豪華な隣人さんですねーって。 「なんだよ、冬海(ふゆうみ)。もう新しい男見つけたのかぁ?」  指には石ころみたいな銀の指輪がいっぱいついてた。ただの黒染めじゃないよね?って感じでなんか黒髪なんだけど青っぽい。服装はその辺にいる兄ちゃんなのに、所々お洒落。白いシャツに英字でなんか書いてあるの。一歩間違うとダサいやつを絶妙に着こなしてる……のは、この人がアイドルに似てるからって先入観? 「鳳翅(あげは)……放してくれ。会社の同僚なんだ」  鴉岬がオレのこと、横から引っ張ってくれた。酔っ払って頭痛そうなのに助かる。 「ふーん。なんだよ、飲み会やってたんなら先に言えよ。無駄足だったわ」  やっぱり人違いなんかな?廻須鳳翅はこんなんじゃない。もっとこう、そういうキレたキャラじゃなくってさ、無難というか、人気商売なんだろうなって感じの……ファンじゃないからよく知らないけど…… 「そういうことだ。帰ってくれ……」 「なんだよ、元カレにつれねぇの。お兄さん、気を付けたほうがいいよ。酔い潰されて、何かされるんじゃね?」  廻須鳳翅もフツーに人のこと指差してた。鴉岬のこと。鴉岬の、元カレ……鴉岬の元カレ?鴉岬の元カレって…… 「やめてくれ!帰ってくれ!帰れ!」  鴉岬は急にキレて必死になって廻須鳳翅を追い出そうとする。オレはどうしていいか分かんなかった。 「ははは、なんだよ。意地になるなよ。寂しいのかなって顔見に来てやったんだから」  ヤバいタイミングで宅飲み誘っちゃったかな~って思ったね。 「あっはっは。でも寂しくなさそうだな。ムカつくよ、冬海。お前だけ幸せになろうたってそうはいかないぜ」  やっぱ廻須鳳翅のモノマネしてる人なんかな?かぶれとか?だってアイドルがこんなこと言うわけないじゃん。いや、言うよ。だってここカメラないもん。  鴉岬は涙目になって、めっちゃ怒ったカオで廻須鳳翅にちょぉ似てる人を玄関から押し出そうとしてた。 「かわいいな、冬海。意地張るなよ。プライドが高くて生きづれぇこった。兄ちゃんもそう思うだろ?」  オレに話振られて、内容よりも、「兄ちゃん」呼びが気になった。いやたしかに廻須鳳翅よりもオレのほうが年上だけれども。その言い方は、オレのこと年下だと思い込んでるみたいだった。もしかして廻須鳳翅って年齢サバ読んでる?実はオレより年上?ってか、鴉岬の元カレってことは、ワンチャン鴉岬って年下と付き合ってたってコト?正直、どっちにどう優劣があるとかではなくて、ビジュアルとか系統という意味で、釣り合ってない気がする。 「かわいいねぇ、冬海は」  「黙れ!二度と来るな!」  廻須鳳翅はけらけら笑って、かなり手加減してたと思う。鴉岬に構ってもらって楽しかったんだろうな。素直に追い出されてた。鴉岬は乱暴にドア閉めて、鍵閉めて、チェーンロックもして、キッチンのほうに消えたなって思ってたら塩まいてた。それでしゃんって突っ立ってたから、怖くなって声をかけた。オレが呼んだせいみたいに、鴉岬は座り出して泣いちゃった。 「あんざき……?」 「あんなやつは、早く新しい女と結婚でもなんでもすればいいんだ」  うっうって泣いてて可哀想になっちゃった。鴉岬って人前で泣くんだ。うん?オレが人じゃないってコト?いやいや、鴉岬、酔ってるし。 「鴉岬」 「泣いてごめん」  顔ぐししって揉んで、でもまだ目が赤い。 「いいよ」 「掴まれてたけど、大丈夫か」 「うん」  鼻がぐすぐすいってた。鴉岬可哀想。 「誰にも言わないでくれ。あいつは芸能人なんだ。新生活が始まろうとしているし、相手の女は何も知らない」  元カレのこと考えてるんだ。酷いやつなのに。 「鴉岬は優しいね」 「男同士でこんなことやってるのが悪いんだ。男同士で……最低だ」  なんかずびしぃってオレの中に稲光りがしたね。男同士、最低か。 「そうなんだ」  最低なんだ、男同士って。 「あいつは女とよろしくやって、親御さんを安心させるべきなんだ。あいつもそれを望んでる。だから仕方がなかったんだ」  そうだね、って同意できるほど、見せられちゃったオレのほうは、直感的な納得ってのはなかった。オレが納得する必要なんかないけれども。 「頼む、島莱。なんでもする。だから誰にも言わないでくれ。俺のことはなんて言ってもいい。俺が男同士乳繰り合っていたことは言っていいから、あいつのことは黙っていてくれ。あいつと付き合ってたことも、あいつに女がいることも、全部……」  鴉岬は涙目でオレに縋りつく。やっぱり鴉岬は可哀想で、放っておけなかった。 「鴉岬」  オレはよしよししてあげた。お互い酔ってて、オレたちはなんか昔の助け合いの時代の、小さい兄弟みたいだった。  鴉岬は細くて骨っぽくて固かった。この前、重そうな大きな箱持ち上げてたのに。神経質で、女子力~とか言われてたのに、あのときは、鴉岬も男なんだな、って。って、時代遅れ? 「島莱……」  鴉岬は嫌がらなかった。たまに抱っこ嫌がるネコいるじゃん。鴉岬は違った。鴉岬はネコじゃないんだけどさ。 「戻ろ、鴉岬。お酒飲も……?」  ちょっと酔いが覚めちゃったのかな。でも酔ってるな、って思ったのは、鴉岬がオレのおっぱいに頭ぐりぐりして首振ってきたから。 「やだ」  見ちゃいけないし、聞いちゃいけない気がしてくる。売れっ子アイドルの廻須(くるす)鳳翅(あげは)が元カレってことよりも。 「鴉岬。向こう行こーよ」  駄々っ子だ。鴉岬のこと無理矢理立たせた。引っ張っていく。 「島莱……島莱…………」 「鴉岬のこの(キズ)も、元カレ?」  オレは鴉岬の頬っぺたをぺちぺちした。痛くはないと思う。そうしたら鴉岬はうんって頷いた。 「ひっぱたかれたん?」  鴉岬はまたうんって頷いた。大の男2人で何やってんだかな。 「痛い?」 「もう痛くない」  自分で頬っぺた撫でる仕草が、なんか小動物みたいだった。鴉岬、まだあの元カレ好きなんかもなって思っちゃった。元カレが誰でも、カレシってのがいなくなったから、こうなっちゃったんかな。   オレの胸元がぞわぞわした。カレシってのは実は誰でもよくて、つまりは恋人が欲しかったって、こと?男でも、女でも。だってゲイかどうかなんて知らないし……今回はたまたま、男同士だったってだけで……たとえばゲイだったとして、それなりに好みで性格もそれなりで、付き合う人としてアリだったら、誰でも…… 「島莱?どした?」 「ううん。別に」  ちょっとだけ一瞬、鴉岬はいつもの鴉岬だった。  鴉岬は開いてた酒缶をかぱ~って飲み干して、飲み会だったら、「いい飲みっぷり!」って言われるやつだった。でも大丈夫か? 「ちょっと待ってて、鴉岬。水持ってくる」  で、買っておいた水取ろうとしたら、鴉岬に掴まれちゃってさ。 「おゎわっ!」  鴉岬のこと押し倒しちゃって、なのに鴉岬はいつも怒りんぼのくせに、なんともなさそうなカオしてる。焦れよ。 「島莱……」  オレのこと見つめて、意味深に呼ぶ鴉岬は酒臭い。 「ご、めん。ごめん……」  別に女相手じゃないんだし、鴉岬だって今フリーだろ。なのになんで、胸元がぎゅっとしたんだろ。後ろめたいんだな。 「島莱」  いつもと違う、酔っ払ってる鴉岬が怖い。眠そうでさ。目の光り方がなんか変で怖かった。 「行くな」  泣いてたんだもんな。そら目も変な光り方するわ。 「寂しい」  怖いよ。鴉岬、怖い。オレは突き飛ばされたみたいに鴉岬から離れちゃった。酷いやつじゃんね。ヤバいなって思ったの、もう遅かった。鴉岬の目からまた涙が落ちてきてて、でも静かだった。 「あげは……」 「オレ廻須鳳翅じゃないよ。島莱。島莱(とうらい)謝花(じゃはな)」  眉毛が歪んだ。オレが廻須鳳翅じゃないのが不服そうだった。そんなカオされても仕方ないだろ。オレは廻須鳳翅じゃないんだから。 「じゃはな……」 「そ」  鴉岬は押し倒されたままぽや~っとしてたのに、起き上がった。 「あげは」  だから違うって!でも鴉岬は正気じゃなかった。素面(しらふ)とかそういうんじゃないのは知ってる。酒飲んでるの差っ引いても、なんか正気じゃなかった。 「あげは……」 「あのなぁ、鴉岬?」  鴉岬はシャツ脱いでさ、オレにおっぱい見せてきた。色白で程良く引き締まってて薄べったい。 「捨てないで……」  酒の力ってすげーって思った。鴉岬、酒弱過ぎでしょ。ここまで呑まれるもんなん?オレはね、余裕ぶって虚勢を張ってるの。酒飲んでも、明日まで覚えられちゃうたちなんだよ。ねぇ、鴉岬。いいの?それでも。  鴉岬はオレの脚を辿ってきた。ヤバいなって思って、顔の真ん前に鴉岬が来た。間近で見ると、アリだなって思っちゃう自分が嫌。オレもガチ酔いしちゃってたら楽しめたのかもしれないけど、まだガチでは酔えてなかった。チュウされそうになって、オレは自分の口覆った。あの人が頭の中でちかちかしてるんだよ。あの人以外とチュウしたことなくて、あの人はそれを喜んでくれてて、あの人が喜んでくれるとオレもそれなりに嬉しかったんだ。でも別に男同士で、純情とか、そもそもあの人との関係が浮気みたいなもので、じゃあこのまま呑まれちゃってもよくない?とか思いながら、あの人のこと思い出しちゃうワケで。  鴉岬はオレの手の裏側にチュウした。あの人を裏切れないつもりなのに、こんなことになってるのはもう裏切り。 「あげは……」  オレの手が剥がれるまでチュウするつもりなのか知らんけど、とにかく何度も鴉岬はオレの指の裏側にずっとチュッチュしてた。それで手が、オレのちんちん揉みだす。 「鴉岬、ダメだよ。オレ、鴉岬の想ってる人じゃない……」  ちんちん揉まれたら、誰だって気が抜ける。多分女の子も、ちんちん触られたら……  酒とバニラの香水とつまみの匂いが鴉岬からぷわぷわ漂って、オレは鴉岬に、生のおちんちん見せてた。恥ずかしいと思うのもタイムラグ。オレもちょっとは酔ってる。  鴉岬はオレのちんちん扱いて大きくする。気持ちいいけど恥ずかしいし、どうする気なんだろうって、オレもただ気持ちいいだけじゃ済まなかった。 「鴉岬、ダメだよ。ちんちん、大きくしないで……」  でも鴉岬はオレのおちんちんをしこしこ擦る。自分でするより気持ちいい。オレのちんちんはみるみるうちにがっちがちに固くなっちゃって、身体は正直。とっても。暫くあの人と会ってなくて、あの人と"アイシアッテ"ないからね。 「鴉岬やめて……」  やめて、なんて微塵も思ってない。あわよくばそのまま出しちゃいたい。もうフル勃起してるのに、今更やめられちゃうとかない。でもやめてって姿勢(ポーズ)が必要なわけで。 「鴉岬……」  鴉岬はオレのちんちんを舐め出した。ちろ、ちろ、って綺麗なピンク色の鴉岬のベロがオレのおちんちんを這う。 「あっ、!鴉岬ぃ!」  ぺろぺろキャンディ舐めてるだけだったのに、今度は口の中に入れちゃって、あの人のは慣れてるけど、鴉岬とこうなるのは初めてだから、噛み千切られちゃうかもって怖くなっちゃった。なのに鴉岬は上手かった。喉奥まで咥え込んで、じゅぽじゅぽいってた。締め上げられちゃってオレ…… 「ダメっ、ダメっ、鴉岬出ちゃうぅ!」  オレ、めちゃめちゃ焦った。あの人にされるみたいに、愉しい時間とかなくて、ただイかされる感じが怖かった。イくのが一番愉しいんじゃないだろ、多分。こんな、事務的で、早く終わりたいみたいな……  オレはびゅるびゅる濃くて多いのを鴉岬の喉に射出()しながら思った。粘っこいのがちんちん通り過ぎていくのが気持ち良すぎたし、空になっていくのも気持ちいい。鴉岬がちゃんと喉締めて搾り取ってくれるのもヨすぎて、クセになっちゃうよ…… 「んっ……ぐ、」  苦しいのかな。鴉岬がえづいた。オレ、別にオナ禁してたわけじゃないんだけど、あの人のこと思い出しちゃって、ちょっとそれが苦手だから、溜め込んじゃってた。  鴉岬の、オレの入ってたのとは思えないくらい細い喉がびくびくしてた。眼鏡ない目がきゅって眠そうで、オレはやっぱり見ちゃイケナイもの見てる。 「くさい………」  臭いって言われたら、フツーは傷付くもので、嫌なイミで恥ずかしいはずなのに、オレの溜まってたやつ臭いんだ、それ鴉岬は飲んじゃってるんだ、ってコーフンした。オレのごろん、って転がってた勃起ちんちんが、またむくむくしてくる。足らないよ、こんなのじゃ。  臭いって言ったくせに、鴉岬はまたオレのむくむくしてきたのをぺろぺろした。 「鴉岬、また勃っちゃう……」  そしたら鴉岬は手でオレのおちんちんを支えて舐めた。 「んひぃ」  もう喉奥まで咥えたりはしなかったけど、口の中に出し入れされて、喉奥でしこしこされてるのとは違う、柔らかくて熱くて細かい動きでまたすぐ出そうになっちゃった。上手すぎる。いっつも会社でツレない態度とる鴉岬に、こんな一面があったなんて。  鴉岬はオレのちんちん舐めながら自分の服抜き出しちゃった。主に下。暑くなっちゃったんかな?って思った。そうしたら、尻丸出しにして、ちんちんは片手だけで支えて、もう片方の手で自分のケツ触りはじめた。痒いの? 「鴉岬?」 「っん、」  色っぽい返事は多分返事じゃなかった。オレはちんちん舐めたられて、鴉岬は自分の尻掻いてる。なんで? 「鴉岬、お尻痒いん?」  どうせ聞いてないしな、って思って訊いたら、鴉岬は首を振った。じゃあ何。何してんの?だからこれも訊いてみた。 「何してるん?」  そうしたら鴉岬はオレのおちんちん舐めるのやめて、オレの上で回った。ケツ見せてくれた。ケツの穴に指突っ込んでた。白い尻に、ちょっと濃いめの綺麗なピンクの穴。 「えっ、ちょ、鴉岬……痛いだろ、それ……」  多分。慣らさないで挿れたことないから知らないけど。 「鴉岬」  呼んだら、ずぶって鴉岬の指が入った。ピンク色の穴がもにゅもにゅ動く。ちんちんがギンッてなる。ちんちんがギンギンになったら、鴉岬はそのままオレのギンギンおちんちんを跨いだ。背中の筋が綺麗だった。でもそんな暢気なこといってられなかった。全然濡れてないところにオレの先っちょがくっついて、そのまま体重任せにオレのは鴉岬に入っていく。しかも生。 「鴉岬っ、きっつ……!」 「あ………っぐ、っぅぐぐ……」  鴉岬はオレのほう見ない。用があるのはオレのでっかいちんちんか。でっかい、オレのギンギンちんちん。おちんちんギンギン。つまり、おちんギン。オレのギンちんは狭い鴉岬のケツ穴に締めあげられすぎて、潰れそう。千切れそうだった。痛いは痛いけど、どちらかというと苦しい。でも鴉岬のほうも結構苦しそう。 「鴉岬、ムリすんなよ……」  ムリすんなよ、じゃないんだよ。なんだこの状況は。なんでオレは鴉岬に抱かれちまってるんだ。同僚とヤるのは、さすがにナシだろ、フツー。 「鴉岬……やめよ。鴉岬、鴉岬?」  オレはオレのバキバキのおちんちんをケツ穴に納めようとする鴉岬の小さな固い尻をぺちぺち叩いた。鴉岬はこっち向いて、今素面に戻られたら面倒だな、とも思っちゃった。オレがホモのレイパー扱いされちゃうじゃん、この状況。いや、跨ってるのは鴉岬だし…… 「やめよ、鴉岬ぃいいいっ!」  でも、ズンって、なんか直下型地震がきたのかと思った。怖かったのにちんちんが狭くて痛気持ち良くなっちゃって、この感情と感覚の乖離も余計にオレを怖くした。 「鴉岬、やめ、て……」  鴉岬はオレに背中向けたまま、そこで上下に動こうとする。切れてる感じはなかったけど、ぎっちぎちでぎりぎり。なのに力任せに動く。オレのちんちんが千切れる。あの人との初めてもこんな感じだった。オレからちんちん無くなったら、オレは女の子になって、あの人は女の子になったらオレを可愛がってくれる……? 「あ……っ、ぅ、ぐ……」  オレのバキバキちんちんちょっと萎えつつあって、でもまだ鴉岬に挿さってて、ぎゅぎゅぎゅ……って擦れる。乾燥してる手で乾燥してるゴム同士を擦り合わせてるみたい。引き攣れてちょっと痛い。 「鴉岬やらぁ……」  鴉岬も痛かったみたい。動くのやめちゃった。動くのやめちゃったけど、中はぐねぐねオレのちんちんに絡みつく。萎えてたのにまたぱんぱんに勃起した。動きたくなっちゃって突いちゃった。 「あ、はぁんっ」  しなる背中がいやらしくて、がんがん突くの止まらない。 「だめっ、鴉岬っ!ちんちんイっちゃうぅ!」  出したくなっちゃうとオレはあの人の前みたいに、赤ちゃんになっちゃう。鴉岬にきゅんきゅんに絞られて、オレは2回目でもまだ濃いのを、びゅくびゅく出しちゃった。

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