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34 愛を紡ぐ
様子のおかしい周さん──
今日は何か思うところがあったのだろうか。まるで甘えているように僕にずっとくっついていた。普段堂々としている大きな体が、こういう時は少し小さく感じる。こんなことを言ったら気を悪くさせちゃうかもしれないけど、今日の周さんはちょっと可愛い。遠慮気味に「エッチしたい」なんて言われてしまえば、明日早いから、なんて理由で断るなんてできなかった。
「お待たせしました」
寝室に戻ると、ベッドに腰掛けた周さんが顔をあげる。やっぱり少し元気がないように見えるけど、そのことには触れずに僕は周さんの前に立ちそっと胸に抱きしめた。
「周さん、キスしてください……」
僕は周さんの頬に手を添え、遠慮気味に顎を上げた彼の唇にゆっくりと口づける。目を閉じていても感じるやわらかな互いの吐息が徐々に熱を帯びていく。トクトクと感じる周さんの胸の鼓動に僕は堪らなくなり、そのまま強引に押し倒した。
「周さん……周さん」
耳元に顔を寄せ、名前を呼びながら目尻や頬にキスを落とす。ふわりと柔らかい髪の間に指を滑り込ませ、いつも僕がそうされているように周さんの頭を両手で包み、少しだけ強引に唇を食んだ。
「竜太、竜太……好きだ。愛してる?」
「……もちろん」
キスから逃れ、瞳を潤ませた周さんが僕に抱きつき囁くようにそう聞いた。これまで何度も何度も愛の言葉を僕にくれた周さんが「愛してる?」なんて不安そうに聞いてくるのを見て、僕は胸がキュッとする。
周さんが何を思おうが、僕らの今、これからは何も変わらない。変えてたまるか、と強欲な自分が顔を出す。出会った時から狂おしいほど好きの気持ちが溢れているのに、その気持ち全てを丸々伝えることができないことに苛立ちを感じる。周さんの下着に手を掛け、あらわになったそこへ舌を這わせながら目線を上げると、周さんは優しく僕の頭を撫でてくれた。
「ねぇ周さん、気持ちいい?」
「ああ、もっと……」
「うん」
会っているときは余計なことなど考えずに、僕だけを感じてほしい。いつもしているように、僕を悦ばせてほしい。
聞かれなくても「愛している」に決まってる。
今更僕に遠慮なんていらないんだ──
「早く、周さんの好きにしてよ……」
僕の愛撫で周さんが小さく呻く。荒い息遣いが嬉しくて、かたく反り勃つその滾りを早く受け入れたくて、僕は自ら背を向け見せつけるように腰を突き出した。
「竜太……」
思いの外強く、周さんに腰を捕まえられ一気に奥へと貫かれる。「待って」と声も出せずに、荒々しい周さんの腰の律動に合わせて情けなく嬌声を漏らすことしかできなかった。
「あっ! あっ……や、あっ……そんな……だめっ、待って、そんなにしないで……あっ、あ……奥……」
背後から激しく突き入れられ、周さんの顔を見ることができない。先程までの遠慮気味な周さんからは想像もつかない荒々しさに戸惑いながら、それでも顔を見たくてなんとか振り返りつつキスを強請った。
「竜太、竜太……こっち向け」
促されるまま体の向きを変えると、ぎゅっと抱きしめられる。お互い少し汗ばんだ体を、逃してたまるかと言わんばかりに密着させる。貪るようなキスに激しい律動。「好き?」「愛してる?」と何度も呟く周さんにこたえるように、僕は夢中で愛の言葉を紡いでいた。
周さんが何を不安に思っているのか知らないけど、僕と一緒にいることで心が晴れてくれればいいなって思う。
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