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50 ごめんね

「あっ……待って、修斗さん、それ……ヤバいって。うぁっ……」  結局、酒を飲みすぎて酔っ払った挙句に一樹さんの家へ寄り道をし、そのまま告白をされ「一回でいいからやらせて」と持ちかけられたことを俺はご丁寧に修斗さんへ白状した。そしてそれを聞いて怒った修斗さんに俺は服を剥ぎ取られ拘束されている。 「康介ってさ、人にあれこれ言うくせに自分のこと何もわかってないよね? 康介だってそっち界隈にモテてるの自覚しろよ」  修斗さんの言う「そっち界隈」ってのはよくわからないけど、俺は全然モテてなんてないから自覚のしようがない。それに修斗さんが半分怒りながら俺を拘束し好き放題やってる様子がまるでやきもちを妬いているようで、正直ちょっと嬉しかった。身動きが取れない俺にわざと軽く触れるか触れないかの塩梅で愛撫をしてくるのはもどかしくて堪らないけど、これはこれで俺にとってはお仕置きという名のご褒美でしかない。この状況にちょっと喜んでるなんてバレたらヤバいので、余計なことは言わず黙ってることにした。 「なあ、康介? 酔っ払ってたのはしょうがないとしてさ、なんで自分に気のある男にホイホイついて行っちゃうんだよ。こういうの前にもあったよね? あ、はぁ……すげ、またおっきくなった……」 「あっ……ねえ、修斗さん、これ、手のやつ解いて。俺、触れねえ……」 「いいんだよ康介は触んないで」  修斗さんが勃起した俺のそこに顔を寄せ、面白がっていじくり回す。わざと口を開け咥えようとして見せるから、俺は情けなく期待して修斗さんの動きに合わせて腰を浮かせることしかできない。 「俺以外の奴に触れられてんの、想像するだけでムカつくんだけど。わかってる? ほら、足上げてみ」  ブツブツ言いながら修斗さんは俺の足を掴み持ち上げる。みっともなく足を広げられ、何をされるのかと思ったら修斗さんの指が俺のケツの穴に触れた。 「はっ? 何やってんの? は? 待って、汚ねえって! 修斗さん? そこ違うでしょ? 触んないで!」  思ってもみなかった攻撃に、俺は焦りまくって腰を捻る。修斗さん、ああ見えてしっかり力も強いから俺がジタバタしたところで屁でもなく、ガッツリ片手で俺の足を掴んで離さない。 「嘘でしょ? ねえ! やめて……あっ、ひゃっ……やだやだ、挿れないで……あっ……んっ」 「やだじゃねえよ、油断してるとこういうことされちまうって言ってんの。ほら、どう? 俺の指」  いつの間にローションまで用意して、修斗さんは容赦なく俺に指を沈めていく。マジでこれは喜んでる場合じゃない。緊急事態だ。大ピンチ! 「それ! 需要ないから! やめて! ごめんなさい! 修斗さん、離して……」 「ふふっ、需要って。嫌がってる割にちゃんと勃ってんじゃん。康介、ここ、気持ちいい?」 「あっ……わかんない、や……修斗さん、やだ……ごめんね、修斗さんの知らんところで俺、やられそうになってて……ごめん」 「………… 」 「ごめんね、許して。んあっ……ひゃぁ……」  修斗さんは俺から指を抜き、少し萎えてしまったそこを咥える。ゆっくり優しく吸い上げるから、堪らなくなった俺は情けない声をあげてしまった。   「あんな男に抱かれそうになったんだろ? ほんとさ、何やってんだよ。すごく嫌だよ……」  顔を上げた修斗さんは悲しそうな顔をしていた。「ごめん──」と謝る俺の口を修斗さんが手で塞ぐ。 「俺だって康介のこと大好きなんだよ。俺のせいで何かを我慢したり遠慮してるのちゃんとわかるよ? そういうの嫌なんだよ」  拘束を解きながら修斗さんは俺の上に馬乗りになり抱きついてくる。「不満を抱えてヤケになって他所で飲みすぎるくらいなら、全部俺の前に晒せ」と結構な強い口調で怒られてしまった。確かに修斗さんの言う通りだ。逆の立場だったらきっと俺はもっと怒りに震えてると思う。それに、それこそ自分のせいで……と悲しくなる。気を遣っていたつもりが逆に傷付けていたなんて、どうしよう俺、泣きそう。 「俺は康介以外なんてもう考えられないんだから、お願いだから堂々としててよ。遠慮しなくていいからさ」 「うん……ごめん。俺も修斗さん以外ありえないから」 「そんなの当たり前じゃん。わかってるよ」 「………… 」  修斗さんは俺にいやらしいキスをして、下だけ脱いで「抱いてよ」と俺を見つめる。この人にはほんと敵わないな、と拘束を解かれた俺は修斗さんを押し倒し、お返しと言わんばかりにキスをした。  

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