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第7話
「小焼ぇ、好きぃっ!」
そう言いながら奥を擦るのをやめてほしい。口を開けば嬌声が漏れるから、話したくない。自分のものじゃないような高い声が出るのが嫌だ。
「にゃっ、や、ら……! ぃや、らぁ」
「え、ごめん! 痛かったか?」
だからって言葉通りに止められるのも困る。中途半端に刺激されたほうがつらい。それはお互いそうだと思うのに、夏樹にとってはただの『待て』になるので、『ご褒美』として処理されてしまう。
自身を抜いた夏樹は心配そうに私を顔を覗き込んでくる。潤んだ大きな瞳が甘露煮のようで美味そうに見える。だが、眼球は舐めるものではないし、舐めると夏樹に叱られる。結膜炎やら失明やらの説教を長々されるので、こういう時は本当に医師免許を持っているんだなと実感する。
頭が少し霞がかったような気分だ。風呂で行為を続けるよりも……。
「のぼせるから、ベッドで、したい……」
「よし、そんじゃ部屋行こうぜ!」
夏樹は浴室のドアを大きく開く。外気が流れ込んできて少し肌寒い。もう身体を拭くことさえ煩わしい。はやくほしい。
バスタオルを手に持ち、ついでに夏樹を抱える。急に持ち上げられた彼は驚いた様子だったが、特に抵抗もしない。ハンドバッグのようなやつだな。
「せめて何か言ってから持ち上げてくれぇ」
「面倒臭い」
そのまま自室に向かい、ベッドに放り投げて、組み敷く。当然のことながら、抵抗をしない。何してもこいつにはご褒美になってしまうだけだ。
「騎乗位すんの? あいだっ乳首抓るなぁ!」
自分で夏樹を受け入れるのは慣れない。硬く反り返っていても人体だからしなやかに逃げていく。腹が立つので乳首を抓って、ちんこを強く握ったら「痛いぃ!」と叫ばれた。はやく欲しいのに。
「小焼、そんまま腰落として。おれが入れっから」
「黙れ!」
「ぴぇっ! そんなに怒るなって、きちんと気持ち良くしてやっから」
なんだか負けたようで悔しい。だが、こういうのは夏樹のほうが上手いのはわかっている。何故なら医師免許を持っているくらいには人体を知っているやつだ。
腰を落として夏樹を受け入れる。腹に圧迫感がある。腑を押し上げられる感覚が奇妙だが、心地良い。もっと欲しい。もっと。腹が減った。
「はっ、あ、はぁ……、あ、……、んっ、あ……!」
「小焼、ここ好きか?」
「んっ、すき……っ、アッ! にゃ、あにゃちゅ、あっ!」
「あいあい。ここな」
言わなきゃ良かった。
突き上げられる度に目の前に星が散る。気持ち良い。
夏樹は目を細めて嬉しそうにしている。こんな時、彼はとても色気のある顔をしている。普段の豆柴犬のような雰囲気からドーベルマンくらいに雰囲気が変わっていて、凛々しく見える。
何かを言おうとしたので、唇で言葉を塞いでおく。どうせ大したことじゃない。舌を絡めて、吸って、口の中を舐めまわす。少し苦味があった。タバコの味だと思う。
夏樹の手が伸びてくる。耳の下あたりを軽く押されて、頭がぼうっとして、浮遊感がする。ふわふわしていて心地良い。もっと、もっと……、深く口づける。もっとほしい、もっと。
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