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第15話
夏樹の家に挨拶に行ったところで、いつものように歓迎されて「仲良しね」ぐらいで終わると思う。パートナー関係にあるといっても、きちんと理解しているのは、妹のふゆぐらいだ。夏樹の両親にしたら同性での婚約やセックスは有り得ないものだと思っているし、まさか息子がそういうことをしているとは思っていないのかもしれない。
だからって、私が説明するのもおかしな話だ。親に言ってもらえば良いかもしれないが、この国だとセフレが多いと言うだけで白い目で見られそうだしな……。実際に私も乱交パーティーはどうかと思う。
「なあなあ小焼。何処行く?」
「夏樹の家では?」
「おれん家に行っても、ふゆしかいねぇよ。両親とも仕事だからさ」
「そうですか」
「で、何する?」
「……夏樹が行きたいところはないんですか?」
「おれは小焼が行きたいところに付き合うよ。あ、でも、ドッグランで全裸で走り回るのは嫌だからな!」
「それなら、釣りにでも行きますか。釣り堀に」
「おう! 釣り堀なら朝早くなくても大丈夫だもんな!」
「もしくは……、ラブホ行きますか?」
こう言うと夏樹は目を丸くして止まった。少し間を置いてえへへっと頰を掻く。
「そう言うってことは、またスイーツフェアやってんだよな」
「セックスしないんですか?」
「ま、まだすんの!? おれは大歓迎だけどさ、本気か?」
「いえ。冗談です。夏樹がどんな反応をするか気になったので」
思ったような反応しかしないので、わかりやすいやつだ。
何処に行きたいかも決まらないので、特に理由もなく繁華街へ行くことにした。家でじっとしているよりは、歩いていたい。もしかしたら新オープンの店があるかもしれない。
肌寒くなってきているので、普段より夏樹の近くを歩く。近くにいると、あたたかい。何か出てるのかと思うくらいだ。
「小焼近くねぇか?」
「夏樹の近くにいるとあったかいので」
「えー。何でだー? ふゆも同じこと言ってたけどさ。おれ、遠赤外線でも出てんのか?」
「焼き肉を食べたくなりますね」
「炭火焼きでも思い出してんの? じゃあ、昼は焼き肉食べ放題にすっか!」
「夏樹のおごりですよね?」
「まじか……」
財布を確認して、夏樹は苦笑いを浮かべていた。
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