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第30話
コスプレの撮影会はまだまだ続く。小焼がたまに「腹が空いた」と言うようになってきたので、アメを食べさせておいた。すぐに噛み砕かれるから、撮影にはまったく問題無さそうだ。アメとしては、もっと舐めて味わってもらいたいだろうけど。
Nano♡Yanoのシルキーハスキー撮影が終わったので、次はシンタローとダウナーちゃんの撮影をするらしく、ふゆとはるはカメラさんのほうへ駆けていった。
ダウナーちゃんは胸がぼよんぼよん揺れるから、目の保養に良いし、毒にもなっちまう。
シルキーハスキーもけっこう胸が大きめだから、困ったもんだ。ロリ顔巨乳キャラってのは、なかなか攻めたキャラデザだよな。つるぺったんのロリキャラを好きな人には乳は邪魔にしかならないはずだし。
「なちゅちゃん、あの、一緒に……」
「おっ、良いぞ」
けいちゃんがスマホを持って涙目で声をかけてきたので、隣に立つ。どうやら一緒に自撮りしたかったらしい。小焼のほうには、メイちゃんが声をかけていた。推しが横に来たからか、小焼は少し驚いている、と思う。表情は全く変わってないけど。
メイちゃんがけいちゃんを呼んだので、小焼は推しに挟まれている。両腕にくっつかれてるから、身動きができそうにない。「そこ代われ!」と言う人も絶対いそうだ。
二人に解放された小焼がこっちに来た。
「良かったな、推しといっぱい撮影できたろ?」
「すごく良い香りがした」
「ははっ、食べようとすんなよ」
また腹の虫が鳴いてるや。
アメもそろそろ底をつきちまう。他に何か食べさせられそうなもんあったっけ? と考えたところで、ふゆが持ってきていたスナック菓子を思い出した。
小焼にスナック菓子を渡して、食べさせておく。腹が空いたらムラムラしちまうから、うっかり襲っちまうようなことだけは避けたい。おれが襲われるのは大歓迎だけどさ。
「ベスチカー。出番だよー!」
「あーい。すぐに行くよ。コウ、行くぞ」
「はい」
ふゆとはると交代する。
ふゆはカメラさんの横に居残った。また妙なポーズ指定の時間が始まりそうだな。
「それじゃ、ベースはチカちゃん抱き上げてー!」
「こうですか?」
「そうそう! そのまま数枚撮りまーす」
小焼はおれを軽々と片腕で持ち上げる。米俵のように担ぎ上げるから、おこめさま抱っこだとか言われてるようなポーズだ。
おれもこんだけ逞しいことできりゃ良いけど、無理だな。
数枚撮影して、お次は何だろ思いきや、キスしろってもんだった。
「キスってどんなキスだよ。何処にすれば良いんだ?」
「ほっぺにちゅってしてくれたら良いよ! さっきしたような感じ!」
「さっきの感じで良いのな」
それならお安い御用だ。
もっとドギツイのをやらされるかと思ったから、安心した。小焼の腕をひいて屈んでもらい、頬にちゅっと口づける。
これでキャーキャー言われるのもなんとも複雑な気分になっちまう。小焼は腹が減ってそうだから、あんまり刺激するようなことしたくねぇんだけど。
お次は……、これ、完全にヤッてるポーズじゃねぇか。スカートで入ってるか入ってないかわからないようにしてるけど、致してるポーズだろ! 立ちバックだろ! 小焼の手の位置がおれの胸と腰なんだよ!
「あ、あのさ、すっげぇ気まずいから早く撮って……」
「気まずいって言いながらもポーズとってくれるお兄ちゃんすごーい!」
「すごーい! じゃねぇんだよ! コウも胸鷲掴みにすんな!」
「偽乳でもやわらかいんですね」
「医療用としても使われてる素材のおっぱいらしいよ!」
偽乳を揉みしだかれて妙な気分になる。おれもこの乳のやわらかさ気になってたけど揉んでなかったのに!
やっと絡み撮影が終わったので、データを見せてもらった。
「うっわ、えっろ!」
「これはネットにアップできそうにないですねぇ」
「炎上しちゃうから、個人観賞オンリーだね!」
カメラさんの腕が良すぎて、すっごくエロい感じになっていた。
その後は、ピンでの撮影をして、また集合撮影をして、終了って流れになった。
アフターに誘われたけど、小焼のことを考えて断った。腹が減りすぎておかしいことになってそうだし。
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