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第35話
浴室に二人で入る。決して広い店内ではないので二人だとやや窮屈なところだが、動けないわけではない。それに、夏樹が近くにいるのを感じて心地良い。
そういえば、幼い頃に夏樹は家に泊りに来た時も一緒に風呂に入ったことがあったな……。
「夏樹って、小学校の時から身長伸びてないんじゃないですか?」
「急に失礼なこと言うなよ! おれだって成長してんだぞ! コッチだっておっきくなってんだ!」
「……今また大きくしてどうするんですか。もう付き合ってやりませんよ」
「あはは、そう言うと思ったよ。なんかさ、おまえと一緒にいたらどうしてもこうなっちまうんだよなぁ……。いや、さっきので満足してないってことじゃないぞ。ちょっとおれが元気過ぎるだけだ!」
――まっ、そのうち落ち着くからさ。
と夏樹は付け足して言ったが、そのまま体を洗うのもなんとも言えない気分にならないか……。
だが、ここで私が触るとクセが増えてしまうだろう。躾けられた犬というものは、絶対にそうしてしまうものだから。夏樹は犬ではないんだが。
「夏樹。一人でシてみろ」
「え? わ、わかった!」
素直にコマンドに従うから、犬っぽいのだろうか……。それも、尻尾を振って応えてるように幻視してしまうくらいだ。
じーっと見ていると、夏樹は熱に浮いた瞳でこちらを見つめてくる。手は変わらずに動かし続けていて、先走り液が手に纏わりついているように見えた。
「は、……ぁ……小焼ぇ、好きぃ……」
「言わなくてもわかってますよ。……それにしても、見られながら自慰してこんなに興奮するって、お前は本当に変態ですね」
「んっ。そんなこと言うなよ。更に興奮しちまうぞ。あー、もう、出るぅ」
「誰がイッて良いって言いました?」
「ふぇっ」
夏樹の手を掴んで行為を止めさせる。すでにボタボタ流れているので、私が触ったことによってイッてしまったようだ。
相変わらずというべきか、なんというか……。
「変態」
「だってぇ……」
「さすが超ド級のマゾヒストスーパードクターですね」
「変な二つ名つけないでくれぇ! 否定はできねぇけど!」
「普段の二つ名もなかなかですよ……」
よく言っている超スーパーなんたらかんたらスポーツドクターというのも変な二つ名に該当すると思う。一般的には。
さて、夏樹は私の手まで汚しているので、彼の口の前に手を出したら、舌を伸ばして、ぺろぺろと舐め始めた。
「自分の精液舐めて美味しいんですか?」
「すっげぇまずい。けど、舐めろってことだろ?」
「舐めろとは言ってませんよ」
「舐めて綺麗にしろって意味だと思ったんだけど、違ったか。くっそぉ。はずしたぁ」
何を悔しがってるんだこいつは。
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