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第40話
自撮りも楽しんだので、着替えて本日の宿へ移動。スタッフさんが旅館まで車で送ってくれた。
温泉旅館に泊まれるって最高だな! 女将さんが客室まで案内してくれて、旅館でのルールを教えてくれた。
「夕飯は七時頃こちらにお運びしますので」
「はい。ありがとうございます」
女将さんは笑顔で去っていった。女将さんじゃなくて中居さんなのかな、わかんねぇや。でも一番偉そうな雰囲気出てるから女将さんだろ、たぶん。
客室にも露天風呂があるので、いくらでも入り放題だ。雪が積もってる庭を見ながらってのも、なんだかテンション上がる。
「夏樹。これ見てください」
「急に掛け軸を裏返して何してんだ?」
「お札が無いです」
「無いなら良いだろ……。あったらちょっと困る」
「貼っておきますか?」
「貼るな。迷惑になっちまうから!」
小焼は表情こそ変わっていないが、楽しそうだ。
今日は人に囲まれる時間が多かったから、やっと二人っきりになれて落ち着けたんだと思う。面倒なスタッフにも絡まれてたみたいだし、ストレスもマッハで溜まってそうだ。
客室内の物が珍しいのか、小焼は色々触っていた。おれにとっちゃ見慣れたもんだけど、小焼にしたら初めて見るものもあるのかもしれない。
だけど、ちっちゃい頃に両親の仕事の都合で海外を転々として生活してたんだから、こういう場所にも泊ってるはずだよな?
「小焼って温泉旅館には泊ったことないのか?」
「そうですね。ホテルはあっても、こういう温泉がある場所は初めてです」
「そっか。そんじゃ、今日はいっぱい温泉入ろうな!」
「のぼせますよ」
「マジレスすんな」
「……ヤるなら準備しますが?」
「情緒が何もねぇな!? もう少しこう、えっちな雰囲気になってから言えよ!」
「したくないんですか?」
小首を傾げて尋ねてくるのは反則だろ。可愛いな。……なにも知らない人が見たら、ガンつけられてるようにしか見えねぇだろうけど、すっげぇ可愛いな。
吸い寄せられるように唇を重ねた。舌を入れようとしたら軽く噛まれた。鋭く尖った歯が刺さっていたい。
「な、何で噛むんだよ!?」
「急にガッつかれても困ります。夏樹が盛ると夕飯までに終わりそうにないので」
「なんだよそりゃあ……」
「……夕飯の後なら相手してやってもいい。それまで『待て』」
「あいあい、わかったよ。小焼が『よし』と言うまでおれは待ってるから」
そう返すと小焼はおれの頭を撫でてくれた。撫でてもらえて嬉しい。もっと撫でてほしいので、小焼の胸に擦りつく。
「はぁー、おっぱいおっぱい」
「相変わらずだな……」
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