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しあわせな休日
今日は土曜日。
悠さんも俺も一日お休みで、朝起きてからずっと、ちょこちょこイチャイチャしてた。
んで、そのままなだれ込んで、今はもうお昼時間。
お風呂から出ると、悠さんがキッチンに立って料理をしてた。
黒いエプロン姿の恋人に、背中からぎゅって抱きつく。
「おかえり」
「ただいま」
えへへ、と笑いが溢れた。
シャワー浴びてただけなのに、おかえり、とかって変なの。
「もうちょっと掛かるから、頭乾かして待ってなさい」
「はーい」
おっきい鍋でお湯を沸かしてた。
なんだろう?
お昼はやっぱり、パスタでイタリアンかな。
頭を乾かしてしばらくすると、ニンニクの香りが漂ってきた。
今日はペペロンチーノかな?
悠さんの作るパスタ、美味しいんだよな。
見目良くて背が高くて優しくてオトナで、企業家で料理も美味い、…ついでにエッチも上手いとか、どんなハイスペックだよ香島悠。
ほんと、よく出会ったとき運良くフリーでいてくれたよ。
よく俺に一目惚れなんかしてくれたよ。
カウンターからキッチンを覗き込むと、悠さんが顔だけこっちに振り返る。
「皐月、悪い。ミネストローネ、インスタントでいいか?」
「うん、いいよ。そんぐらい俺が用意するし」
「おー。火傷するなよ」
「しないよ。悠さんは俺のことバカにし過ぎだよ」
ムーっと口を尖らせながら、キッチンの引き出しからインスタントのスープの元を取り出した。
ご飯を食べて、歯を磨いてから、また悠さんの膝の間に座る。
この家のソファーは、大人の男でも3、4人並べるくらい広いから、余裕で離れて座れちゃったりするんだけど。
ど真ん中に座る悠さんの膝の間。それが俺の定位置だ。
土曜日の昼間のテレビって、あんまり面白い番組がやってない。
なんとなく観てるような流しているような感じで、一度一人で観た再放送のバラエティー番組を見るともなしに眺めていた。
悠さんは本放送の時間まだ仕事で帰ってなかったから、初めてのその回をたまに笑いながら観入ってる。
悠さんが笑うたびに、その声と吐息とが耳に入り込んでくる。
その感覚にゾクゾクしながら、時折身体をブルリと震わせた。
お腹の前で組まれた手。その指の股に、指先をゆるりと這わせる。
口の中に入ってこないかな…。
指先をツン、と突付く。
服の裾から手を差し入れて、待ってる部分に触れてほしい。
「……皐月…」
ぎゅっと背中から抱きすくめられて、耳の上の部分をはむ、と唇に挟まれた。
「ん……っ」
また、してくれるかな…?
甘い予感に体が疼く。
だけど悠さんはすぐに唇を離すと、パッと甘い雰囲気を取り払った。
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